2016/09/29 18:15:52

私について #248 (日本銀行の役割とその限界)

9月26日、黒田東彦日本銀行総裁が講演し今後の金融政策について言及し、以下4つを示した。                                                    @短期政策金利の引き下げ                                      A長期金利操作目標の引き下げ                                   B資産買い入れの拡大                                         C資金供給量の拡大ペースの加速 


BCは黒田バズーカと呼ばれた政策で、日銀が国債市場の大口投資家として国債を買いまくったり、ETFという日経平均株価やTOPIXなど株式指数に連動した上場投資信託を購入し金融市場に資金を供給すること。これらは2012年12月第2次安倍政権が誕生した時黒田氏が日銀総裁となり、それ以後金融政策の中心に置かれた政策だ。@は日銀の金融政策の基本中の基本である政策で、長年デフレを経験してきた日本の短期金利は限りなくゼロに近いレベルに抑えられてきたが、2016年2月16日からは民間銀行の日銀当座預金にある超過準備に対してー0.1%を課すマイナス金利政策を導入した。Aは今回初めて日銀が導入する政策であるが、短期政策金利のマイナス金利を維持すると同時に、10年国債の利回りを0%に誘導するという政策。


証券会社の金融市場部にいたころ、日本国債のディーリングを間近に見た経験を持ち、日銀の金融政策によって市場が大きく動く場面も多く見てきたが、Aの政策は見たことが無かった。というか、その政策に関してとても違和感を感じているというのが本音だ。本来、長期金利というのは多くの金融機関が参入する金融市場でその水準が決まるのであって、日銀がそれを決めることはできない。ここ数年、日銀が国債市場の大口購入者として君臨しているのは確かだが、それを考慮しても理論的な政策とは思えない。事実、黒田総裁も「長期金利は操作目標であり完全にコントロールできない」ことを認めたようだが、今回、日銀の新たな追加の金融緩和策に入れたのはどうしてか?


2016年2月以降、安倍政権の旗印の下、黒田日銀総裁はデフレからの脱却と、物価目標2%を目標に日銀がなしうる政策を進めてきたが、いずれも日本の金融市場にある資金を設備投資や個人消費に向かわせることができていない。今では短期金利市場においては、一部マイナス金利までもが導入されているが、その状況においても資金が日本経済に活気を与えるような状況になっていない。短期金利は0%以下、長期金利は0%とする中、どうして物価目標を2%に設定できるのか。優秀な日銀マンたちが作った目標とは到底思えない。


ここからは凡人の独り言だが、日本の金融市場に溢れかえっている資金を有効に動かすには、日銀が掲げている政策目標では無しえないということだろう。短期政策金利のマイナス幅を増やしても金融機関の体力が脆弱化するだけ。日銀が日本国債やETF(日本株)を買い続けても、金融市場に資金が溢れ続けるだけ。日本企業は360兆円もの内部留保を抱えているという。個人の金融資産にいたっては1,700兆円。最近ニュースでは格差問題・貧困などネガティブなものが多くなってきている気がするが、統計上は企業も個人も着実に資産を増やしている様子。今後は日本政府がこのような眠ったお金を動かす方法を考える必要があるのではないだろうか?







2016/09/08 16:40:10

私について #247 (法定研修会で学んだこと)

2016年は(公社)全日本不動産協会東京都本部創立65周年、(公社)不動産保証協会東京都本部創立45周年の記念すべき年である。9月7日、それを祝し東京国際フォーラムで記念式典があり、自分もそれに参加した。小池東京都知事にもお出でいただくなど、りっぱなの式典であったと感じた。記念講演会では、菅官房長官、橋下前大阪市長のお話もあった。


内閣官房長官と言うこともあり、菅氏のお話は記者会見で良く耳にする内容で、とりたてて新鮮味は感じなかったが、橋下氏のお話は大阪市長時代に自分がやろうとしたことと、もともとの大阪市の行政の実態を披露してくれた。大阪都構想、彼が住民投票までやってのけたのは、まだ記憶に新しいものだが、なぜ、それをやって大阪を変えようとしたかを面白おかしくお話になっていた。大阪府と大阪市、確かに大きな行政府が二つあり、非効率な面があるであろうことは、大阪に詳しくない自分にも想像はつくし、他の多くの人達も似たような思いは持っていたことだろう。税金を使い大阪府と大阪市が競って高層商業ビルを建てたこと、二つの行政が体育館のような似たような公的な建物を立てていたこと。自分の税金が使われているわけではないから、あまり気にすることは無いかもしれないが、確かに傍目に見ても違和感を感じる。金融機関で働いていた時、自分は日本の地方自治体が発行する債券を売買する部署にいたが、大阪府発行、大阪市発行の債券は、いずれの発行体も財政状態が良くないということで、投資家からの信頼感が薄く、債券取引市場でも人気が無かったのははっきりと覚えているし、その状況は今も変わっていないことは明らかだ。


ま、それはともかく、橋下氏のお話の中で面白かったのは、大阪の地下鉄網のこと。東京と大阪の地下鉄路線図をスクリーンに映し出し、彼はその違いを説明した。東京の地下鉄網は駅の数の多さはもちろんだが、多くの路線が終点というものが無く、私鉄やJRと相互乗り入れをしている。実際に利用するものからすると、一度トラブルと電車の遅れが生じたりするので、相互乗り入れは良いことばかりではない、と言う人もいるだろうが、公共交通網としては理論的には素晴らしいもの。そして、大阪の地下鉄路線図を映し出すと、どの路線も両側に終点駅があるのが確認できる。そして驚くことなかれ、JRや他の私鉄との乗り換え駅もほとんど設けておらず、利用者にとっての利便性にかなり問題があると感じた。利便性について橋下氏が問題視したのは、大阪の地下鉄システムは大阪市の管轄で大阪府は一切関与しておらず、それを理由に大阪市は大阪府および他の鉄道会社とも連携することは無いので、今のような利用者にとって利便性の低い路線網となったことだった。ほんとうにそれが理由で現在の大阪の地下鉄網があるのなら、これはほんとうにもったいないしお金の使い方が間違っている、としか言いようがない。


この世の中にはいろいろ理にかなっていないことは多くあると思う。大勢の人が理にかなっていないと思っても、歴史的に理にかなっていないことがまかり通っていた場合などは、それを大勢の人が理にかなっていると思うように変えるには、たくさんのエネルギーと時間とお金がかかるので、多くの場合そのまま放置されてしまう。橋下さんはそのような理にかなっていないことをほんとうに変えようとしたのかもしれない。今度は小池都知事が東京における、理にかなっていないことを変えようとする、いばらの道を進もうと決心したような気がする。東京都民としてぜひ応援しようと思っている。






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グランド・プラン
カナ
グランド プラン
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