アールの不動産屋連載小説 7
今日は月に1度の全社会議の日だ。雲一つない快晴の冬空とは裏腹に俺の心は朝から
どんよりと曇り、憂鬱な気分だった。社長はじめ、営業部門以外に本社にある開発部門、設計部門など他部門の役員、幹部たちが全員集まる会議だ。そんな重要な会議に何故か今回、「2号店の店長」という肩書きで俺が参加することになった。エリアの営業会議に出席することはあっても、社長が出席する本社会議となると緊張感が半端ではなかった。社長に会うのは入社時の面接以来、2年ぶりだった。
「2号店ができてからの来店客の詳細を簡単にまとめておくように」そうエリア長から電話があったのは、つい一週間前のことだった。2号店ができて3ケ月あまり経つが、営業成績は鳴かず飛ばすの状態だった。何故、最寄駅から徒歩15分もかかる悪条件のこの場所に2号店をオープンしたのかはわからないが、誰が見ても一目瞭然の結果だった。エリア長から本社会議の連絡があった翌日には、さっそく神谷さんが来店客の資料をまとめてくれた。神谷さんは接客業も完璧にできるうえに、細かい資料作りもささっと時間をかけずにできてしまう人だった。そんな優秀な人が、何故こんなパッとしない店にいるのか、今だに不思議で仕方なかった。もしかしたら将来、どうしてもなりたい夢があって、他にもアルバイトをしてお金を稼いでいるのかもしれないと俺は勝手に妄想していた。そんな神谷さんが作ってくれた資料をカバンに仕舞い、俺は本社の会議室へと向かった。 続く・・・
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