変化に気づくこと
最近本屋さんでみかけた「認知症世界の歩き方」を読んでみた。
将来、自分も体験するかもしれない認知症世界の旅。
記憶のトラブル、時間・空間のトラブル、五感のトラブル、注意・手続きのトラブル。。
認知症のある方へのインタビューから明らかになった、心と身体に抱えるトラブル、障害の実例に ”あ〜ァ、そうだったのか” と納得した内容も。
症状は一人ひとり違うこと、当事者の視点で正しく理解することなど、旅のガイドさんと、”認知症とともに生きるための知恵を学ぶことのできる本” です。
「物忘れ」と「記憶障害」・・
覚えていた時の自分を思い出すことができるのは”物忘れ”
自分が考えていた、行動したこと自体を忘れてしまうことが多い”記憶障害”
たぶん最初は自分にしかわからない(はてな?)症状で、他人から見たらただの物忘れ。
読み進めているうちに、今まで自然にできていたことがある日??できない・動けない・体が反応しない・・頭の中ではいろんな壁を乗り越えていて、本人でさえも「なぜ?どうして?」と、説明が難しいのだと知りました。
この本の著者はデザイナーという仕事を通して、認知症の課題解決に向け活動をしている方です。
使いにくい商品やサービス、混乱を呼ぶサインや空間があふれる現代社会で、認知症のある方が生活に困難を抱えている原因の大半がデザインにあるとしています。例えば、物の中に人の顔や動物の姿が見えてしまう現象「パレイドリア」。停めたはずの車が突然、動き始めて見えたり、壁の模様がどうしても人の顔に見えてしまったり、自分にしか見えていない光景。
認知症のある方が暮らしやすいデザインとは・・たどり着いた一つの結論がこの「認知症世界の歩き方」ということです。
とても印象に残ったのは、自分の「意志」と身体の「動き」にズレが生じること。距離感がつかめないので机のコップをうまく持てなかったり、口元でこぼしたり。ハンガーにかかった服に手を伸ばしても距離感がつかめず服がつかめなかったり。服を着るのも上下・左右・裏表がわからない、まるで迷路に迷い込んだように時間だけ過ぎていく。一つの行為をとっても、たくさんの壁があることを知ることができました。
方向感覚が失われる・・本や新聞など改行がある文を読むのが難しい。
平面の情報から空間をイメージできない・・矢印が指す方向がわからない。
視界の範囲が狭くなる・・案内サインが見つけられない。隣を歩く人が見えなくなる。
複数の事を同時に実行できない・・車のハンドル操作に集中するあまり足に注意がいかず、間違いやすい。人の話を聞きながらメモするのが難しい。
頭と体が短時間で疲れやすい・・自分の作業に集中するためにとても頭を使っている感じがする、疲れて動けなくなる。
こうした出来事は「理解しがたいこと」ではなく、加齢や心身の疲れ・周辺の環境によって、だれもが日常的に体験することかもしれません。
普通にできていたことができなくなっていたり、今までとちょっと違うという、小さな違和感に気づくことができれば、自分自身にも家族に対してもできることがある、工夫をすることができると感じました。
「できる」「できない」を知る・伝える。前向きになれる言葉変換をすること、、、大変勉強になりました。
コメントを投稿する
投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。
その他ご利用上の注意点はこちらをご参照下さい。
お問い合せ