2021/05/03 13:40:13

配偶者居住権 その3(節税)

【相続1口メモ】


「配偶者居住権」を設定することにより、相続税を節税できる場合があります。今回は事例を紹介します。


相続関係図をご覧ください。



相続人は妻と子の2人です。妻は夫と同居、子は別居していたとします。相続財産は、自宅(建物評価額:2000万円、土地評価額:5000万円)と預金3000万円とします。遺産合計1億円です。


配偶者居住権を設定せず、財産を下図のように分けた場合の相続税です。



自宅と預金の半分を妻が相続し、子は預金の半分のみ相続しました。妻は「配偶者税額軽減」制度により相続税はかかりません。1次相続では、子のみ45万円相続税がかかります。


2次相続では下図のようになります。



1次相続時に妻が相続した財産を、2次相続で子がそのまま相続した場合です。相続税は780万円となります。1次と2字の合計相続税は、


45万円(1次)+780万円(2次)=825万円


となります。


次に「配偶者居住権」を設定した場合です。建物配偶者居住権価格:500万円、配偶者居住権を設定したことによる敷地利用権価格:1500万円とします。子が相続する建物所有権価格は1500万円(2000万円ー500万円)、土地所有権価格は3500万円(5000万円−1500万円)となります。


遺産分配は下図のようになります。



子の相続財産がA案と比べ大幅に増えました。よって税額も435万円となり、A案の10倍となりました。妻の相続税は「配偶者税額軽減」により今回も0です。


2次相続は下図のようになります。



2次相続で子が相続する財産は預金1500万円のみとなります。配偶者居住権と土地利用権は妻が亡くなった時点で消滅します。配偶者居住権価格と土地利用権価格は相続財産になりません。


課税価格は基礎控除を下回ります。相続税はかかりません。1次(435万円)と2次(0円)の相続税合計435万円となりました。


A案(配偶者居住権設定なし)の相続税合計額は825万円でした。B案を採用することにより約400万円節税となりました。


2次相続で空き家となった家を売る場合、B案では「空き家譲渡3000万円控除特例」が適用されません。2次相続後売却予定であればA案が得する場合があります。


相続税の想定は個別の事情により大きく変わります。それぞれの状況に合わせ、適正なシュミレーションをしてください。





















2021/04/30 20:23:34

配偶者居住権 その2

【相続1口メモ】


前回、夫が亡くなった後、妻の自宅居住権を守るという立場から「配偶者居住権」を説明しました。


今回は、夫の事情・感情からの「配偶者居住権」利用です。


最初は先祖から引き継がれた不動産を守るための事例です。図をご覧ください。



図のようなとき、代々続く自宅を法定分で相続すると、妻と夫親族(兄弟姉妹・甥・姪)の共有になります。(子供がいれば妻と子だけの共有となります)


共有状態のまま妻が亡くなると、妻が所有する家の持分は妻の親族が相続します。妻の持ち分は夫の親族のそれより圧倒的に多いです。つまりご先祖様から引き継いできた土地は、大半が他人の所有となるのです。


これを防ぐために「配偶者居住権」を利用することができます。生前に、「妻に配偶者居住権を遺贈する。所有権を弟〇〇に相続させる」という内容の遺言書を作成しておくことです。


将来妻が亡くなれば、配偶者居住権は消滅し、夫親族の所有権だけが残ります。先祖の土地は守られます。



次に感情的な利用です。夫婦仲が悪い場合です。



夫婦仲が悪くても、離婚もなかなかできないということもあります。夫は持病があり、妻より先に逝くことはほぼ確実といった状況もあるでしょう。


妻には一切財産を遺したくないので、全財産を子供や親族に遺贈するという遺言書の作成を考えるでしょう。


しかし妻は遺留分の請求ができますから、一定の財産は渡ることになります。


「そんなことはとても我慢できない」という感情を抑えるために配偶者居住権が役に立つかもしれません。配偶者居住権を遺贈することにより遺留分侵害を失くす可能性があります。


配偶者居住権は、売って現金化することができません。他の財産が渡らなければ、家に住み続ける権利くらい仕方ないと思えれば効果はあるでしょう。



ネガティブな事例を紹介しました。気分を害された方には申し訳ありません。家族信託など他の解決策もあります。いろいろ事情のある方は専門家に相談してください。













2021/04/25 18:24:39

配偶者居住権について

【相続1口メモ】


今回は配偶者居住権について考察したいと思います。この制度の趣旨は、夫亡き後妻が安心して暮らしていけるようにするというものです。


例えば相続財産が自宅だけだった場合、妻と子供の共有になることがあります。自立している子供から、「亡くなった父の家は自分にも権利がある、俺の持分に相当する家賃・使用料を払え」と言いだしかねません。


あるいは「売却し現金化して分けよう」となるかもしれません。そんなことになってもはねつけることができ、死ぬまで無償で住める権利です。


こういうモデルケースも想定されてます。財産が自宅と預金の場合です。子供から、「自分は預金を相続するからおふくろは自宅を相続して」と提案されることがあります。


都会は自宅の評価額が高いので、金額的には妻の相続財産は十分となり得ます。ただ家があっても今後の生活費がないと困ってしまいます。妻としても預金の一部を相続したいところです。


例えば相続財産が自宅4000万円、預金2000万円だとします。相続人は妻と子供1人とします。自宅を配偶者居住権(評価額2000万円)と負担付所有権(評価額2000万円)に分けます。


妻の法定相続分は1/2ですから3000万円分の権利があります。配偶者居住権(2000万円分)と預金の1/2(1000万円分)を相続することで、この先も自宅に住むことができ、尚且つ生活費も確保できます。


とまぁこういう制度です。しかし実の親子ではそんなに問題はないと思います。トラブルが起こりそうなのは次のケースです。前妻の子供と後妻で相続した場合です。



この関係のトラブル相談を何度も受けました。次の関係もけっこうトラブります。



相続人が妻と夫側の親族となる場合です。この2つは実質他人同士が相続人となるので面倒なことになりやすいです。


生前に夫が遺言書を書いておけば妻は死ぬまで安心です。「配偶者居住権を妻に遺贈する」と遺してください。これで遺産分割協議で揉めたり、裁判所で審判を受けたりする必要は無くなります。


配偶者居住権設定後、自宅の権利関係は下図のようになります。



赤字の権利を配偶者が取得し、青字の権利を配偶者以外が取得することになります。


配偶者居住権は建物に登記することができます。登記事項の乙区に表示されます。



何が書いてあるかわかりませんね。拡大しましょう。






こんな感じです。少しは理解していただけたでしょうか?


後々ややこしくなりそうな人間関係があるようでしたら早めに専門家に相談してください。







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(株)クローバー・リアル・エステート
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