2021/04/30 20:23:34

配偶者居住権 その2

【相続1口メモ】


前回、夫が亡くなった後、妻の自宅居住権を守るという立場から「配偶者居住権」を説明しました。


今回は、夫の事情・感情からの「配偶者居住権」利用です。


最初は先祖から引き継がれた不動産を守るための事例です。図をご覧ください。



図のようなとき、代々続く自宅を法定分で相続すると、妻と夫親族(兄弟姉妹・甥・姪)の共有になります。(子供がいれば妻と子だけの共有となります)


共有状態のまま妻が亡くなると、妻が所有する家の持分は妻の親族が相続します。妻の持ち分は夫の親族のそれより圧倒的に多いです。つまりご先祖様から引き継いできた土地は、大半が他人の所有となるのです。


これを防ぐために「配偶者居住権」を利用することができます。生前に、「妻に配偶者居住権を遺贈する。所有権を弟〇〇に相続させる」という内容の遺言書を作成しておくことです。


将来妻が亡くなれば、配偶者居住権は消滅し、夫親族の所有権だけが残ります。先祖の土地は守られます。



次に感情的な利用です。夫婦仲が悪い場合です。



夫婦仲が悪くても、離婚もなかなかできないということもあります。夫は持病があり、妻より先に逝くことはほぼ確実といった状況もあるでしょう。


妻には一切財産を遺したくないので、全財産を子供や親族に遺贈するという遺言書の作成を考えるでしょう。


しかし妻は遺留分の請求ができますから、一定の財産は渡ることになります。


「そんなことはとても我慢できない」という感情を抑えるために配偶者居住権が役に立つかもしれません。配偶者居住権を遺贈することにより遺留分侵害を失くす可能性があります。


配偶者居住権は、売って現金化することができません。他の財産が渡らなければ、家に住み続ける権利くらい仕方ないと思えれば効果はあるでしょう。



ネガティブな事例を紹介しました。気分を害された方には申し訳ありません。家族信託など他の解決策もあります。いろいろ事情のある方は専門家に相談してください。













2021/04/25 18:24:39

配偶者居住権について

【相続1口メモ】


今回は配偶者居住権について考察したいと思います。この制度の趣旨は、夫亡き後妻が安心して暮らしていけるようにするというものです。


例えば相続財産が自宅だけだった場合、妻と子供の共有になることがあります。自立している子供から、「亡くなった父の家は自分にも権利がある、俺の持分に相当する家賃・使用料を払え」と言いだしかねません。


あるいは「売却し現金化して分けよう」となるかもしれません。そんなことになってもはねつけることができ、死ぬまで無償で住める権利です。


こういうモデルケースも想定されてます。財産が自宅と預金の場合です。子供から、「自分は預金を相続するからおふくろは自宅を相続して」と提案されることがあります。


都会は自宅の評価額が高いので、金額的には妻の相続財産は十分となり得ます。ただ家があっても今後の生活費がないと困ってしまいます。妻としても預金の一部を相続したいところです。


例えば相続財産が自宅4000万円、預金2000万円だとします。相続人は妻と子供1人とします。自宅を配偶者居住権(評価額2000万円)と負担付所有権(評価額2000万円)に分けます。


妻の法定相続分は1/2ですから3000万円分の権利があります。配偶者居住権(2000万円分)と預金の1/2(1000万円分)を相続することで、この先も自宅に住むことができ、尚且つ生活費も確保できます。


とまぁこういう制度です。しかし実の親子ではそんなに問題はないと思います。トラブルが起こりそうなのは次のケースです。前妻の子供と後妻で相続した場合です。



この関係のトラブル相談を何度も受けました。次の関係もけっこうトラブります。



相続人が妻と夫側の親族となる場合です。この2つは実質他人同士が相続人となるので面倒なことになりやすいです。


生前に夫が遺言書を書いておけば妻は死ぬまで安心です。「配偶者居住権を妻に遺贈する」と遺してください。これで遺産分割協議で揉めたり、裁判所で審判を受けたりする必要は無くなります。


配偶者居住権設定後、自宅の権利関係は下図のようになります。



赤字の権利を配偶者が取得し、青字の権利を配偶者以外が取得することになります。


配偶者居住権は建物に登記することができます。登記事項の乙区に表示されます。



何が書いてあるかわかりませんね。拡大しましょう。






こんな感じです。少しは理解していただけたでしょうか?


後々ややこしくなりそうな人間関係があるようでしたら早めに専門家に相談してください。






2021/04/23 16:39:24

持家派?賃貸派?

今回は持家派?賃貸派?という内容です。このブログ運営のライバル組織であります「全宅連」さんがデータを発表してます。


持家と賃貸、古来より論争が続いている永遠のテーマです。とはいえ数字的には持家派が圧倒的です。ずっと8割以上の高い数字を維持してます。


では2020年はだったかというとグラフのとおりです。



持家派74.5%、賃貸派25.5%という結果でした。コロナ前のデータ(2016年〜)も見てみましょう。



コロナの影響かどうかわかりませんが、2020年かなり賃貸派が増えました。経済的な理由により、購入は難しいという消極的賃貸派が増えたのかもしれません。


或いはリモートワークができるようになり、固定した住居ではなくワーケーションによる短期賃貸やサブスク住居の人気がデータに反映したのかもしれません。


コロナ前の年でも賃貸派は増えています。2016年以降は不動産が高騰している時期です。価格との関連性は高いと思います。


いずれにしても昨年から今年の状況により、多くの人が今後の生活様式を真剣に考えたと思います。今後の住まい方も様々に変化していくことでしょう。



参考に賃貸派の理由上位を紹介します。


1位:税金が大変


わかりますね。固定資産税・都市計画税馬鹿になりません。都内戸建てだと年間20万、30万になるところもあります。税金以外では、15年目前後に内外装で2,3百万のリフォーム費用が必要になります。頭痛の種です。


2位:住宅ローンに縛られたくない


ローン支払いが終わるまで収入が安定してたら問題ないですが、数十年の間には何があるかわかりません。リストラされても賃貸であれば家賃の安いところに引っ越したりできます。しかしローンを抱えて問題が起きた場合、実際的にも精神的にも自由度は大きく下がります。


3位:天災が起きたとき所有はリスクになる


こちらも災害に会わなければ問題ありません。ただ、「台風でゴルフ場の鉄柱が家に倒れてきた」「液状化で家が傾いてきた」といったニュースを見てしまうと心配になるのも無理はありません。




















会社概要

会社名
(株)クローバー・リアル・エステート
免許番号
東京都知事免許(3)0096214
代表者
金子 克明
所在地
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東京都杉並区西荻南1丁目22−14アーブル西荻102号
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