2012/06/19 11:58:35

私について#55 (飛行機から見る大地)

プライベートでも仕事でも、出かけた先の名所・旧跡等を見学、体験することは、それがまさに目的だからとても楽しいことだが、もう一つの楽しみとして、飛行機から眺める地上の景色は、意外性があり、これまた楽しい。機内誌に時々ルートマップとして掲載している航空会社があるが、実際には、それがその日の正確な飛行ルートとは限らないので、機長のアナウンスを良く聞いて、あらかじめルートをインプットしておくことが重要だ。


ロンドンからのルートだと、東に向かう時はウィーンを通過することが多いが、その街は、ドナウ川に寄り添った都市なので、比較的簡単に識別することができる。南東に向かう時は、なんと言っても、アルプス山脈の景色が素晴らしい。上空から見ることになるので、マッターホルンの頂上の尖った姿を見ることはできないが、あの切り立った山々は何度見ても飽きることは無かった。そして、アルプスを越えると、ベネチアを見ながらアドリア海へ入るのだが、険しい山々と海のコントラストがとても印象的だった。南に向かうとフランスの海岸沿いからピレネー山脈を越え、緑のスペインの大地が始まり、マドリッドを超えると赤茶のスペインの大地へと変わる。スペインの南岸に近づくと、地中海と大西洋の境となるジブラルタル海峡が見え、少し先にアフリカのモロッコの領土が見えてくる。昔、アフリカ大陸からイスラム人たちがスペインに渡って来たというのが頷けるほど、アフリカ大陸と欧州大陸は目と鼻の先だった。


中東出張の場合、ロンドンからドバイへは夜行便となるため、上空からの景色を楽しむことができない。しかし、ロンドンへ戻る時は、日中の便が多かったので状況は異なる。ドバイから戻る時は、離陸後しばらく、ペルシャ湾・イランの山脈を通過するルートとなる。そして、機内食を楽しんでいると、イラクの領土へと入っていく。機内スクリーンを見ると、ちょうどバクダット上空を通過するルートになっていたので、窓から下を覗いてみた。2007年当時は、まだ内戦が激しかったこともあり、市街地と思われるところから、黒い煙が3本上がっているのを見た。10000m下では、一般市民が巻き込まれてる内戦が続いていることに胸が痛んだ。






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