2012/07/20 14:21:29

私について#66 (リーマンブラザース破綻)

2008年9月4日、4年6か月のロンドン勤務を終え東京に戻った。2007年、米国に端を発したサブプライム問題は、世界中のデリバティブ、クレジット市場を破壊し、それらに関わった、世界中の発行体、投資銀行、投資家は大きな損失を抱え、生き残りをかけてのたうちまわっていた。


日本の証券会社、投資家もその例外ではなく、混沌とした市場の中で、なす術を持たずただ茫然と時を過ごしていた。金融市場は一度狂い出すと、人智を超えた動きをするため、いくら社内で会議を行ってもその混乱から抜け出すことはできず、関係者は嵐が行き過ぎるのを待つしかなくなるのである。何か行動を取ることによって、多少良い方向に向くことがあっても、得てして、逆に損失を膨らませることが常である。


そんな中、2008年9月15日、米国大手投資銀行であるリーマンブラザース破綻のニュースが世界を駆け巡った。サブプライムビジネスが健全であった頃、そのビジネスで荒稼ぎしたこの投資銀行は、皮肉にも、その商品の負のスパイラルによって市場から退場させられてしまった。米国政府は、もちろん、十分な検討を重ねたと思うが、結果的にリーマンブラザースを見捨てたのだ。そして、この破たん以後、世界の金融市場は、全く深みのない、儲けるためにリスクを取ってリターンを稼ぐ投資銀行、証券会社の基本的なビジネスモデルを破壊してしまった。


それにより、世界の金融市場は、市場参加者が減少し、全く厚みの無い薄っぺらな市場と化してしまい、いわゆるリスクマネーと呼ばれる資金は、金融市場を素通りし、原油市場や商品市場へと流失してしまった。残念ながら、リスクマネーは、一度信用を失った市場にはしばらく戻って来ることは無い。事実、リーマンブラザース破たん以後、金融市場では新興国市場ブームも去り、それらの市場も低迷から脱出できないで現在に至っている。日本の株式市場も例外では無い。


金融市場を語る時、経済のファンダメンタルズ、成長性をグローバルな視点を持って、その市場の将来の動きを予測するのが重要だが、それ以上に大切な事は、資金の流れがどうなるかである。今、世界の株式市場が低迷しているのは、中国のGDP成長率が8%を割った、欧州経済が低迷しているからではなく、単に、世界中の株式市場に資金をシフトする魅力がないからなのである。リスクマネーを動かす投資家が、ほんとに魅力を感じるのであれば、中国の成長率が5%でも、欧州各国の財政問題がすぐに解決され無くても、その次のステージを追い求め資金を投入するはずだ。


ほんとの意味で市場と対峙していない、評論家やメディアにとって簡単な説明で済むから、経済空洞化、円高、を理由にすることが多いが、このネタは過去30年以上に渡って言われていることである。自分が証券業界にいた30年間、この材料は絶えず使われたものだ。


日本の国債発行残高、1000兆円、社会福祉制度は少子高齢化で持続可能か疑わしい。世界の投資家は、この日本の状況に気づき始めていて、ゆえに、長期的に日本株を買わないのではないか。彼らは日本が破たんするストーリーをシュミレーションし始めている。だいたい、日本の投資家が自国の株式市場に魅力を感じていない。日本人一人一人も、本当にこの国の将来を考えないといけないのでは。経済競争力の低下、大震災とほんとうに厳しい状況にある今の日本。それに国民負担が生じても、経済・社会福祉を中心に、あらゆる構造を改善、再構築していかないとこの国の将来は厳しい。原発再稼働ゼロ目標より前に、国の生き残りをかけた決断が我々に必要ではないか。野田首相ではないが、もう先延ばしできる状況ではない。






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