私について#84 (投資対象としての不動産)
「90年人生の住宅すごろく」。10月24日の日経9面が面白い。定年後に無年金=無収入期間が発生することに対処するため、最近、自宅を賃貸併用住宅に改造し、賃貸収入を得ようとする人が現れてきている、とのこと。生活の知恵の紹介とは言え、「自宅に稼がせる」という発想を日経が記事にしたことが、自分からすると画期的で良い。
住宅等、いわゆる現物不動産は、昔から立派な投資商品であったのだが、実は世間ではあまりそのように捉えられていなかった。不動産と言えば自宅であり、それは自分達が生活をするところであり、株式・投信・金、その他諸々の投資商品とは違うと思っていた人が大半なはず。少なくとも自分の周りでは、そういう人が多かった。家を買うということは一世一代の大きな買い物をすることで、それを利用して「稼がせる」という考え方は無かった。
「自宅に稼がせる」、と言う発想は、不動産という投資商品を運用し、そこからインカムゲインを得て、自分の生活力を高めるということである。これはまさしく投資である。ただ、この記事のケースは、我々の寿命が延びたことによる生活防衛のための措置として紹介されているが・・・。
バブル崩壊後、自分自らが金融商品で大きな含み損を抱えているにもかかわらず、周りに不動産投資している人を見つけると「不動産のような危ないものに投資すると大損する」と言ってた人がそれなりにいた。バブル崩壊後、不動産市場も急落を経験したから、そういうことを言ってた人達がいてもしょうがないのは事実でもあったが。
寿命が長くなった一方、これからは年金支給年齢が延び、定年後の無収入期間が長くなって行くことが予想されるため、日本人は、より良い人生を送るため、いろいろ知恵を絞らなければいけない時代に入った。1990年のバブル崩壊以後の世界の投資環境を考えると、金利・株式・為替等の投資対象物の動きを見れば、如何に日本の投資家がそれら商品によって損失を膨らましてきたか良くわかる。今後10年を見据えた時、過去20年のようなことは無いにしろ、かと言って、金融商品の保有だけで良好な運用成績を得られるとは思えない。不動産が投資対象として日本人の生活向上の一助になることを、今後、我々はもっと啓蒙していかなくてはいけない。
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