2013/06/08 14:42:19

私について #128 (今後)

ここ最近、体調がすぐれない父に付き添う時間が多かった中、金融市場ではかなりの激震が走っていた。証券会社で30年勤務していたこともあり、宅建業に加え資産コンサルタント業も兼務しているので、何人かの顧客から、嘆きに近い相談を受けることが多くなった。年初来40%の上昇と、世界の株式市場で最大の変化率を経験した日本株市場は、5月23日に日経平均15,942.60の高値を付けたが、まさにその日の後場から下げ相場に見舞われ、大引けで1,143.28下落し、それ以後は、混乱から抜け切れない状況となっている。なぜ、ここ半年世界の金融市場が大きく動いたかを考えてみた。

1.為替(米ドル/円) シェール革命により、米国は安価なエネルギーを手に入れた。安価なエネルギーの調達が可能になったことにより、ここ数十年低迷した米国製造業が元気を取り戻してきたことにより、これら製造業の輸出額が増加してきた。米国経済の活性化により、一部地域では個人消費の伸びが顕著になってきた。シェールガス・オイルの生産が予想以上のピッチで増加しているため、米国はこれらエネルギー資源を輸出し、外貨を稼ぐ動きを加速させている。米国は2017年にもFTA締結国ではない日本にも、天然ガス・オイルを輸出出来るようにした。今、日本で起こっていること。発電を火力発電に頼らざるを得ない電力事情が未だ変わっていないし、今後の原発再稼働のスピードも上がりそうもないので、向う数年も、海外からエネルギー資源を輸入し、火力発電により、経済活動の血液である電力を確保しなければならない。過去数十年の円高局面で、日本の製造業は海外生産にシフトしてきた上、特に電気等の輸出企業は、様々な製品のグローバル化に対応できない状況に陥っており、以前ほど、海外で収益を稼ぐことができない。

1にあるように、米国における安価なエネルギーの調達と、経済の立ち直りは、今後、米国が貿易活動において、外貨を稼ぐ要因が増えていくので、貿易収支は大幅赤字状態から改善の方向に、場合によっては、貿易黒字国になる可能性も出てくるので、米ドルには買い圧力がかかる。一方、日本は、エネルギー資源確保による支出増と、輸出企業の低迷で外貨を稼ぐという要因より、持ち出す要因が増えるので、貿易収支は悪化の一途をたどることになる。実際、2012年の貿易収支は赤字となったし、今後もエネルギー資源確保に多大なコストがかかるので、貿易収支が改善する可能性は低い。経済原則として、貿易収支黒字の国の通貨は買われ、赤字の国の通貨は売られる。日本は失われた20年を経験したが、輸出企業の頑張りと、現在のような、エキストラのエネルギーコストがかかってなかったため、貿易収支は黒字であった。将来を見据えると、米ドル高/円安の流れは変わることは無い。

2.日本株 昨年末以来、大幅に上昇した理由をあげると、米ドル高/円安、金融当局による異次元と言われる金融緩和、米国経済復活期待から来る、米国株式市場の連日の史上最高値更新の動き。過去数十年、外人投資家が日本株の運用比率を、インデックスに対し大幅に引き下げていた中、日本株市場が上昇したことにより、その比率を上げなければいけない事情が発生し、そのポジション調整として、久々に、日本株を大幅に買い越した。また、ここもとの上昇相場を見て、個人投資家を主体とした、日本人投資家が市場に参入。中でも、短期間に売買を繰り返すデイトレーダーが、上昇相場の中で、買い回転をきかせ市場を席巻した。

日本株が6か月で40%上昇した理由はだれにもわからない。評論家が得意とする後付けでは、何とでも理由をつけられるが、今回の日本株の短期間で急上昇した理由を理路整然と解説することは難しい。そして、2週間でこれだけ下げた理由も良くわからない。この急落で、デイトレーダーも活力を失った。

買い回転が効いてる時は、悪材料も材料視されないことがあるのだが、相場下落に転じた今では、「米国金融緩和の出口戦略」まで悪材料となってきて、投資家にとっては、頭が整理できなくなってきているのではないかと察する。

今後、シェール革命を発端とし、米国では製造業の復活の兆しが見られ、中長期的に見て、経済活動が予想以上に活発化する可能性が高い。だから、米国株式市場は史上最高値を付けている。経済活動が活発化すれば、景気が良くなり、その国の通貨当局は、市場への資金放出はストップするし、インフレ回避のために政策金利を上げたりする。これは、中央銀行の当然取るべき金融政策。しかし、これは必ずしも株式市場にとってネガティブな要因では無い。景気が良くなり、企業収益が上がれば、投資家はその企業の株を買おうとするのだから、株式市場は上昇する。日本の貿易相手国としては、中国についで2位となったとは言え、米国経済の良し悪しは、日本のみならず世界の金融市場に大きな影響を与える。

マスコミはいろいろな評論家のコメントをネタに記事にするが、投資する時はそれに惑わされることなく、覚悟を持って市場に臨んだ方が良い。相場というものは、実際に市場に対峙したことのない評論家が語れるような簡単なものではない。日々流れてくる、様々な情報に踊らされること無く、今後、世界経済がどう動くのか、中長期的な相場観を持って臨むと面白いかもしれない。






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