2015/06/30 11:17:38

私について #201 (ギリシャ不安より不安なもの)

2015年6月30日はギリシャの国際通貨基金(IMF)への約15億ドルの融資返済期限。欧州連合(EU)のメンバーの一つであるにもかかわらず、相変わらず財政緊縮策を受け入れないギリシャ政府に対し、EUが金融支援を行わないことを決めたことで、IMFへの返済は困難との見方が強まっている。これを受け、昨日、金融市場ではグローバルレベルで株式市場が急落、為替市場ではユーロが大幅に下落した。EUの一員としての規律を守ることなく、ある意味政府の放漫政策からこの危機を迎えているに際し、結局は「国内の銀行営業停止」措置を取る事態となり、ギリシャ国民には気の毒な面もあるが、EUのメンバーとして政府が対応策を打ち出してこなかったことで、恐らくユーロ圏脱退はやむなしと言わざるを得ない。チプラス首相は7月5日に実施される緊縮策を受け入れるか否かの国民投票実施までの猶予をEUに要請したようだがきっぱりと断られた。自分としては、7月14日に償還を迎える、サラリーマン時代に引受主幹事として関わったギリシャのサムライ債(20年債)が償還されないであろうことに無念さを覚えるがそれはそれで致し方ない。いずれにせよ、ギリシャ国民・政府の良識で最後の最後までEUと交渉を続け融資を取り付けこの危機を乗り越えてもらいたいと願う。ユーロ圏離脱はこの国の再生を不可能にしてしまう事態だから。


金融市場で働いていた者としてギリシャ以上に不安なのは中国の状況。ここ数年景気が鈍化していたし、今後も明るいシナリオが描ける状況ではないのにもかかわらず、上海総合指数は2008年リーマンショック以来の高い水準にあり、経済のファンダメンタルズを反映しない形で推移していた。しかし春以降、株価が急落する場面が見られ、いよいよ来るべきものが来たかと言う感じになってきた。一部ではギリシャ不安を材料にするものもあるが、中国に関してはその理由付けは当たらない。金融の世界では、中国は外資を規制する流れに大きな変化は無いため、外国人投資家の資金はそれほど多く流入していない一方、香港と上海の株式市場の相互取引等の規制緩和を行い、国内個人投資家の資金を導入しているのが実態。数か月前ニュースで、上海にある証券会社でインタビューされていたご婦人の話を聞いて驚いたが、日本のバブル時代を彷彿とさせる強気なコメントを語っていた。現在、その方の収支がどうなっているか興味があるが、想像するにかなり厳しい状況となっていることだろう。中国政府は海外機関投資家ではなく、国内個人投資家に株価を支えさせているのが実態だ。6月29日、中央銀行である中国人民銀行は2014年以降で4回目の政策金利引き下げを実施したが、現在の株価下げトレンドを変えるに至っていない。


ギリシャのデフォルト、中国株式市場の急落はいずれもグローバルベースでそれら資産を保有する機関投資家が多くないことから、リーマンショックのようなグローバルレベルの金融不安を引き起こすことは無いと想像するが、とりわけ日本の実体経済においては中国の動きは多大なる影響をもたらすと考える。円安を受け、今、日本はアジアを中心としたインバウンド旅行者で日本中どこに行っても外国人旅行者のおかげで経済が潤い始めている。その中でも中国からの旅行者の日本製品の購入意欲は物凄いものがあり、これなくしてはもう日本のサービス・小売業は成り立たないと言う状況になりつつある。今後も中国国内の経済発展とともに中国における中産階級が増加していけば日本経済にとって大きなプラス要因となる。それを考えると中国の動向は日本にとって他人事ではいられない。中国において、富裕層・中間層が自国株式市場で大きなダメージを受け厳しい状況に陥り、海外旅行ができなくなるような状況になってしまったらいったい日本はどうなるのか。考えれば考えるほど不安になってくる。







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