私について #203 (混迷深まるギリシャ)
2015年7月13日、17時間に及ぶ異例のマラソン協議の中で、欧州連合(EU)とギリシャは金融支援の再開で条件付き合意した。これを受けて、とりわけグローバルレベルで株式市場が急反発を見せ、世界中のメディアは挙って「金融市場に安心感が広がった」と報道した。
それにしてもチプラス首相はここもとのEU首脳との協議の中で強硬な姿勢を見せていたうえ、7月5日には国民投票で「EUからの緊縮財政案を受けるか受けないか」を問う際、その投票前には国民に向かって「受けない」方に投票しろと言っていたにもかかわらず、最終的には粘ったもののある意味あっさりEUからの要請を受けてしまった。自分もEUとギリシャの合意=信用確保は期待していたシナリオだったが、チプラス首相の今回のやり方は間違ったと思っている。ここで合意するのであれば、国民投票などやらずに先月末の段階できちっとEU側の要請を受けるべきであり、今ここで急にEU側に「良い顔」したらギリシャ国民の国民投票における「意思表示」は一体なんだったのか、簡単に言えば、あの国民投票は、「ユーロ圏脱退もやむなしと判断した」ギリシャ国民の顔を潰しただけのもので終わったことに等しい。繰り返しになるが、ギリシャがユーロ圏に残ることはギリシャやギリシャ国民にとって、今後厳しい事態が待っているが、脱退するより良いと思っているが、今回のチプラス首相の取った行動は、今後、彼と国民の間にとても大きなしこりを残してしまったことを彼は認識する必要があると思っている。
「EU・ギリシャ間の条件付き合意」の条件は、7月15日までにギリシャ議会で増税および年金改革の法案を通すこと。国民投票で「NO」が多数派になったすぐ後に、議会でこの法案を通すことが可能なのか。仮に議会工作の結果、法案成立がかなったとしても、その後ギリシャ国民はチプラス首相を信頼できるリーダーと思えるのか。
ここ最近グローバルレベルの株式市場において、ギリシャ不安でショート筋に売りたたかれていた中、そのショート筋の買戻しで急伸したことを「ギリシャ不安の払拭による」と報道したメディアの思慮の無い報道。残念ながら、ギリシャ不安はこれからが正念場となることは間違いない。
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