2016/12/27 13:25:45

私について #255 (米国発の反グローバル化は避けられるのか)

2016年12月2日付、日本経済新聞第二部「極なき世界の航海」が興味深いし、頷けるところがある。


グローバル化が地球の隅々まで浸透するさまを描いた「フラット化する世界」(トーマス・フリードマン著)の出版からほぼ10年。米欧には反移民や反自由貿易のうねりが見られ「世界の警察官」不在は、中東などに混乱をもたらした。世界秩序の安定には、強い米国の復活が欠かせない。「フラット化する世界」は地球が「小さく平ら」になり、個人の力が強くなる大変革期の到来を予言した。起爆剤はインターネットだ。今や人口知能(AI)やロボット技術を軸とする「第4次産業革命」(クラウス・シュワブ著)の大潮流になりつつある。だが国際経済システムがどれだけグローバル化しようと、政治構造が国民国家を基本としていることには変わりはない。この矛盾が反グローバル化の火種となっている。


世界の所得上位1%(大金持ち)と30〜60%(新興国などの中間層)の所得層は20年間で実質所得が6割も増えているのに、上位80%前後の所得層(先進国に多くいる中間層)はほとんど所得が増えなかった。冷戦終了直前の1988年からリーマン・ショックが起きた2008年までの20年間、グローバル化とIT化は一握りの大金持ちと中国などアジアで勃興した中間層に恩恵を与えた。一方で、先進国に多くいる中間層にはメリットが十分浸透しなかった。


2016年6月、英国国民投票におけるEU離脱の決定、11月、次期米国大統領ドナルド・トランプ氏に決定は、まさに先進国に多くいる中間層たちの政治批判の現れと、この記事を書いた記者は捉えている。もともと先進国の中間層は人権や機会平等を尊ぶ、民主主義の担い手であるが、その彼らが豊かさを実感できないために、グローバル化に懐疑的になり、政治批判を先鋭化させた結果がもたらしたもの。


後付けの話ではあるが、世界の多くの人が英国のEU離脱を予測しなかったし、米国次期大統領選挙で、好き嫌いは別にしても民主党候補が敗れるとは思っていなかったのではないか。自分もまさに両方とも外してしまったが、2016年に起こった先進国における政治的な動きの大きな変化は、これからの世界の動きに幸運をもたらすのか否か。


反グローバル化の潮流は世界平和を維持するための障害となることはないか。自分は、政治・経済のグローバル化の潮流により、良い意味で「世界のフラット化」=「争いの無い政治・経済の発展・機会均等化」を期待していただけに、今後の流れの変化が気になる。とりわけ、米国次期大統領が掲げる「強い米国の実現」。世界一の大国であるこの国が、世界とどうバランスを保っていくのか。現時点では全く見えないその不安が、新たな争いの火種を生むことがないか。冷戦の再来だけは絶対に避けなければいけない。









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