2020/04/21 9:56:05

私について #335 (原油価格急落が意味するもの)

日々の生活や企業の生産活動そして社会インフラなど、そのどれもはエネルギーが無ければ成立しない。そのエネルギー得るためをには原油が必須で、それも常に安定的に供給される必要がある。ただ残念なことに、歴史的に原油をめぐって様々な争いごとは絶えることは無かったわけで、原油自給率が数パーセントしかない日本は、事が起きれば大きな影響を受けてきた。自分が覚えている出来事は、1970から1980年代に起こったオイルショックで、原油価格急騰を受け日本経済や社会生活が大きく揺らいだことだ。それこそトイレットペーパーが店頭から消え、多くの物資の価格も上昇した。しかし、幸いなことに日本は企業努力と理性的な国民が多かったこともあり、その後のオイルショックおいても無難に危機を乗り越え、世界第3位の経済大国の地位を得ることができた。そんなことを思い返してみると、基本的に原油価格が急上昇すると経済・社会が混乱するという流れがほとんどだった。


4月20日、米国ニューヨーク商業取引所の原油先物相場は、価格の指標となる米国産WTI(ウエストテキサス インターミディエート)原油の先物価格(5月限)が1バレル=マイナス37.63ドルで取引を終えた。これは原油先物取引が1983年に始まって以来の最低水準だとのこと。このマイナス37.63ドルの意味は、売り手が1バレル=37.63ドル支払って原油を引き渡すということ。通常の売買であれば売り手は物を渡してお金を受け取るが、この場合は物もお金も買い手に渡さないといけない。なぜそんなことになるかというと、一つにはこの取引が先物取引で、その取引最終日が4月21日とあと一日しかないので売りたい人は次の日までに売らなければならないこと。二つ目は原油先物取引は、売り手にとってはお金を受け取ると同時に現物の原油を買い手に渡す必要があること。ここで厄介なのは、原油の現物を保有するには石油タンクとかに貯蔵しておく必要があり、それにはそれ相当の費用がかかることが避けられない。今回お金を払ってまで原油を打った売り手は、原油を保有し続けるコストを考えるとお金を払っても原油を渡した方が良いとの判断で売却した。明らかに大損をしてしまったことになる。一方買い方はお金をもらって原油を手に入れたわけで、理論的には大儲けしたことになる。


今回のマイナス価格での引け値は、売買のテクニカルな事象から起こったもので実態を反映したものではない。しかし、感染症拡大で全世界の経済、社会活動が停止状態となっているため、原油は消費が進まずダブついた状態になっていて、物の価格を決定する需給関係のバランスが大きく崩れてしまっているのが現実なので、価格が上昇に転ずることは期待できない。本来、経済・社会活動を人間の体とすれば原油は血液のようなものであるが、現時点では産業廃棄物レベルに成り下がってしまった。これは異常事態であり、我々としても、電力料金やガソリン価格が下がることを喜んでいる場合ではない。


欧米では危機直後にもかかわらず、政府は目先厳しい状況に置かれる企業や国民への救済を実施した、と言われている。そして今、感染者、犠牲者数のカーブがピークアウトしてきたとのことで、経済、社会活動の再開の道を探り始めている。何よりも大切なものは人の命であることは万人が認めることだが、経済、社会活動を止めたままにすれば、別の形で人の命が危うくなることが意識され始めた。それは日本でも同じはずだが、危機直後の日本の政治家の対応の鈍さを見ていると実に心もとない。今ここにある危機はこれからが正念場だ。政治ショーに明け暮れている場合ではない!








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