2012/09/20 12:10:41

私について#79 (エネルギー事情)

9月12日、(公社)不動産保証協会東京都本部、平成24年度法定研修会において、日本総研理事長、寺島実郎氏のお話を聴く機会を得た。氏は、三井物産戦略研究所会長でもあり、国際関係の時事にとても詳しい方である。


寺島氏より様々なお話が出ていたが、一つとても印象に残ったお話が有った。日本は、福島における原子力発電所事故以後、全国で50以上ある原子力発電所は、それらの検査期間に入ったのをきっかけに、大飯原子力発電所3・4号機以外は停止中であるのは周知の事実であるが、それらが停止していることにより、各電力会社は、その不足分をカバーするために、LNGを中心とした火力発電に切り替えて電力供給をしている。これはある意味あたりまえのことだが、問題は、発電に必要なLNGの調達において、電力会社と言うか、日本は、国際的にみてとても高いコストを払ってLNGを確保しているということだ。


今、米国・カナダでは、シェールガス抽出技術が確立されたことにより、LNGの価格が大幅に下がってきているが、日本の電力会社は、LNGを古典的な長期安定供給契約を結び、カタール等のLNG産出国から調達している。その価格差は、米国産に比べて4〜5倍だとのことである。であれば、現在の調達方法を変更して米国・カナダからの購入に切り替えれば良いと思うが、米国は自由貿易協定締結国に対し、優先的にこの安価なLNGを輸出する、というポリシーを持っているため、現時点で、米国と協定を結んでいない日本が購入できるようになるには、もう4年程かかるとのこと。事故をきっかけとし、既存の原子力発電所を使用することができなくなった日本は、それがとても割高なものであっても購入せざるを得ない。寺島氏によれば、この新たなLNGの購入だけで年間3〜4兆円と、とてつもないコスト増となるとのこと。


今、日本においては、領土問題は別として、原子力発電所再稼働反対、それどころか全廃にせよ、自由貿易協定のようなものは国内産業を滅ぼすので絶対反対、的なことが声高に叫ばれている。しかし、これらを実践することで、ほんとに我々の生活が良くなるのだろうか。


世界で唯一の原爆被爆国である日本が、長い年月をかけ議論し原子力発電を取り入れ、福島で事故が起こるまで、電力の30%強をそれで賄うようになっていた。ある意味それは日本の高度経済成長を引っ張った一つの要因であったとも言える。もし、それを全廃するならば、それも長い年月をかけて、その方向に舵を切り替えるくらいでないと、この国は成り立たない。また、グローバル化が進んでしまった中、国内市場だけを見て産業の成長を維持することができないのは、現在の電気・鉄鋼等の日本の基幹産業の実情を見れば火を見るより明らか。今生きる我々のため、そして、子孫のために、日本人は各人しっかりとした覚悟を持って生きていく必要があるのではないか。






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