私について#100 (12月24日付、日経を読んで)
「こわもて規制、民間が萎縮」。インサイダー取引。最近では多くの人たちが耳にする社会的違法行為で、特に、銀行・証券会社の社員がこれに関わるケースが多い。上場企業の資金調達、買収等、その企業にとって大きな資金が動く、時として、その企業の株価に大きな影響を与える事象に対しては、そのプロジェクトに関わる人たちの業務に関する秘密保持は徹底的に管理されている。これを破れば犯罪行為として懲罰を受ける。2012年もいくつかの証券会社でこれに違反する行為が行われ、関係した社員はもちろん、会社自体も金融当局から処分を受けることとなった。自分が証券会社にいた頃も、いくつかそのような事象を業界人として経験したことがあった。このような事態が起こると、金融当局は、ここぞとばかり、厳しく改善を求め、処分を受けた会社は、社員教育・業務改善を徹底し、二度とそのような事態を起こさないことを確約する。
金融業界は、失われた20年の中で、業界的に特に荒波にもまれる経験をしたため、金融当局にはほとんど頭が上がらない状態にある。時には、金融当局の指導が、厳しすぎるものと思っても、処分を受けた会社は、彼らに何も対抗する術を持たない。金融当局は、本来はこの業界が健全に機能し、金融市場を活性化することを促す集団であるはずであったが、インサイダー問題等、業界の負の部分だけが強調される世の中になってしまったため、規制強化だけが強調されるようになり、業界との信頼関係はほとんどなくなってしまった感がある。企業サイドでも、営業推進する部門と、企業内でその営業推進が健全に行われているかをモニターする部署が対峙することが多くなり、とても同じ会社で、同じ目的を持って利潤追及する集団とは思えない状況だ。
社会・経済において血液の役割をする金融部門が、規制のみが強化され萎縮してまっては、それこそ、中央銀行がいくら市場にお金を放出しても、それが有効に使われる機会が減ってしまう。特に、銀行を通じた貸出に加え、証券業界を介して、資本市場から企業へ資金を行き渡らせる、直接金融が定着してきた流れを止めることは避けなければならない。
金融審議会が、金融業の役割を、成長産業として経済をリードすることと位置付け、これを支援することが金融行政の役割と踏み込んだ、とのこと。民間も、倫理観を持って業務にあたり、日本の経済再生の重要な役割を担っていることを肝に銘じて、頑張ってほしいと思う。
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