私について #166 (マレーシア航空17便)
2014年7月17日、乗客・乗員298名を載せたマレーシア航空17便は、現地12時14分アムステルダム スキポール空港を離陸した後クアラルンプールに向けて、ドイツ・ポーランド上空を通過し、離陸後3時間弱程でウクライナ上空へと飛行を続けていた。この頃機内では、恐らく昼食を終えた乗客はそれぞれの思いを馳せながらくつろいでいたに違いない。家族に会うことを楽しみにしていた人達、仕事で出張していた人達、観光旅行で胸を躍らせていた人達を運んで10,000mの上空を順調に航行していた同機に、地上からミサイルが放たれたことなどだれが想像できたか。しかし、悲しいかなマレーシア航空17便は、ウクライナ上空において親ロシア派から発射された地対空ミサイルによって撃墜され、乗客・乗員298名全員が帰らぬ人となった。
今回起こった悲劇はウクライナ東部で旧ソビエト連邦のロシア・ウクライナの覇権争いの中で起こった出来事の一つだ。ロシアはクリミア自治区と異なりウクライナ東部の取り込みまでは積極的ではなかったが、中途半端な介入を続けたことによって、ウクライナ東部における両者の覇権争いは収まりどころが無くなってしまった。この紛争のバックにロシアが存在しているせいなのか、親ロシア派勢力は最大射程30,000mの地対空ミサイルを保有し、今回そのミサイルをマレーシア航空17便に向けて発射し撃墜した。恐らく初めから民間機をターゲットにしていたわけはないと思うが、誤射によってマレーシア航空17便は撃墜され多くの尊い人命が奪われた。
紛争地域とは言え、10,000m以上の上空は問題無いとされ、マレーシア航空のみならず、多くの航空会社が欧州・東南アジア便においてウクライナ上空を最短飛行ルートとして使用していた。自分はロンドン駐在中、中東への出張に際し、多くの航空会社が最短ルートとして使用していたイラク上空を通過したことがあり、機内から内戦によるものと思われる黒煙を窓越しに見たことがあったが、ミサイルが飛んでくるとは思っていなかった。しかし、今回の事件を目の当たりにし、もしイラクがこのようなミサイルを保有していたら同様なことが起こっていてもおかしくなかったと感じ背筋が凍った。
旧ソビエト連邦同士とは言え、現在では政治・経済的に欧州連合(EU)により近いウクライナとロシアをバックに持つ親ロシア派の紛争、言い換えれば、東西冷戦に似た縮図の中で起こった異常事態。犠牲者やその家族・友人・仕事仲間は一体どこに救いを求めていけば良いのか。ご冥福をお祈りします。
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