私について #173 (アメとムチの活用)
住宅資金贈与非課税枠拡大。国土交通省は2015年度の税制改正で非課税枠を現在、省エネ・耐震住宅1000万円を3000万円、一般住宅500万円を2500万円に引き上げることを目指し財務省と調整に入る。この制度は2016年度、2017年度にかけ段階縮小するものの、ここ数年の教育資金贈与の非課税枠に加え、新たに住宅資金贈与の非課税枠拡大の検討はかなりのアナウンスメント効果があると予想される。国の金庫番である財務省は肯定的ではないようだが、業界人としてぜひこの非課税枠の拡大は成し遂げていただきたいと思う。
2015年1月からの相続税基礎控除枠の圧縮による実質的な増税、そして今回の贈与税非課税枠の拡大。政府は「アメとムチ」を振り回し、民間に眠っている大量の資金を動かそうと必死になっている。先の消費増税以後、7月以降の景気動向は政府が期待している程戻ってきていないというようなメディアからの報道に押されている上、日銀総裁も「自分のやり方に間違いは無い」と、いじっぱりおやじみたいなコメントしか出してこないし、政府自身の成長戦略と言われるものも全く実態が見えないし。そんな中、政府としても即効性のある景気刺激策を出さないといけないと思ったのだろうか、またしても贈与税非課税枠拡大を「伝家の宝刀」としてきた。
預貯金だけでも800兆円あると言われる個人資産。その多くは65歳以上の中高年が保有していると言われている。その一方、自分を含めた年代より若い世代はあまり資産を保有していない。残念ながら、富という物は万人にもたらされるものではなく、一部のところに偏ってしまうのだが、いずれにしても、それら眠っている資金を動かすことで景気が刺激されることは間違いない。中央銀行が金融市場に民間まで行き届かない資金を供給するよりも、既に民間にある眠った資金を直接動かす方が何倍も景気刺激に効果がある。
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