私について #177 (ドイツの抱える矛盾)
英国フィナンシャル・タイムズ(FT)の日本語版にあった記事。
メルケル首相は欧州連合(EU)における経済大国というドイツの確固たる地位を築いた。だが内政の判断が全て正しかったわけではない。ドイツ経済に影が差し、8年間の任期で最悪の決断に注目が集まる。エネルギー政策から原子力という選択肢を除く判断だ。ドイツ人は世界で最も環境に配慮する国民だ。歴代の政権は風力や太陽をはじめとする再生可能エネルギーへの依存拡大を支持してきた。再生可能エネルギーは現在、ドイツの発電全体の23%で、2035年までに65%に高めることになっている。この政策は家計や企業に負担を強いる。再生可能エネルギーで発電する電力会社への補助金は消費者に転嫁する。ドイツの電気料金は欧州平均を48%上回る。中小企業のコストは米国の2倍だ。原子力発電の廃止でさらに厄介になる。ドイツは2つの重荷を背負う。1つはエネルギー需要を満たすため、より多くの石炭を燃やす必要があることだ。2010〜15年に9基の石炭火力発電所が稼働する。昨年は石炭による発電が1990年以来の最高水準に達した。2つ目は、ロシア産の天然ガスへの依存度を高めることだ。ウクライナ問題を巡り、プーチン大統領の侵略行為に異議を唱えるのならば、逆にロシア産ガスへの依存度を低めなければならない。それでもドイツが、原子力発電という選択肢を除く政策を転換することはなさそうだ。1986年のチェルノブイリ原発事故の記憶が有権者の記憶に残っているからだが、ドイツ国民は原発問題を率直に議論する必要がある。ドイツのエネルギー政策のパラドックス(逆説)は無視できない。二酸化炭素の排出量削減に取り組む一方、石炭火力発電所を増設しようとしている。太陽光にはたいして恵まれていないのに、太陽光発電に多くを託してきた。メルケル首相は考え直さなければならない。
この記事を読んで感じたこと。我が国日本はどうなのか?2011年3月11日以後、日本のエネルギー政策は大きく変わった。というか、変わらざるを得なかった。それは当然のことだと思う。しかし、その後3年6か月以上が過ぎた今、日本のエネルギーの現状はどうか。全ての原子力発電所は停止、それを補うために日本は世界中で割高な化石燃料を買いまくり、燃やし二酸化炭素を排出している。その結果、今では日本の貿易収支は大幅な赤字を計上している状況であるし、そして、地球温暖化阻止を目指した、二酸化炭素排出削減においても世界に貢献しているとは言えない。また、新たなエネルギーとして再生可能エネルギー促進策を試みたが、最近のニュースを見ているとやはり付け焼刃的なこの政策は上手くことが運ぶとは思えない状況で、とても原子力発電にとって代われるエネルギーとはなれそうもない。ドイツと異なり自国でしか電力を調達することができない日本。ドイツ以上に大きな矛盾を抱えている日本の電力事情に対して一石を投じるのはいったい誰なのか。われわれ日本国民も早急に原発問題を率直に議論する必要がある。
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