2010/11/29 16:35:56

減額 事実確認A

創作を再開しましたら、アクセスが増加中です。ついに昨日は自己新記録でした。ありがとうございます。気合をいれて頑張ります。


嘉子の創作「減額・番外編」つづきです。


品川さんの名刺を探し当てたヒラマは、時間的に会社へ電話をしました。品川さんはヒラマを覚えていて、早速明晩会うことになりました。


ヒラマが品川さんに電話したのは、管理会社が賃貸物件の居住者から自治会総会出席について、委任状をもらっていたからです。ゼンカンチュウイギム。漢字では「善管注意義務」。善良なる管理者として注意をはらう義務があるからです。


仕事をする上で、善良に仕事をする。管理義務もある。ということです。不実な行動疑惑のある自治会役員の行動。証拠の一部を知ったヒラマが問題を放置することは、委任をした、管理物件の住民たちにたいして、「善良ではない。」と考えたからです。


自治会エリア隣接地域にある、アーケードから一歩入った歓楽街の居酒屋には、せっちゃんと品川さん。ジャージのおじさん。その他数人の人たちがすでに個室で仕切られた予約席に到着していました。重要な話がもれない造りになっていました。


大テーブルに集い、軽い自己紹介のあと、本題に入りました。ヒラマは、暫定ではないのに、自治会の役員さんたが総会で会員のみなさんに、真っ赤なウソをついていたことを見破ったことを説明しました。証拠のコピーをそれぞれに手渡しました。電話で東京に問い合わせ確認をとったことも伝えました。


「どおして、みなさんは何もしないんですか。」とヒラマは少し強い口調で品川さんたちに問いかけました。すると誰からともなく、「やっていても、のれんに腕押しなのさ」という答えが返りました。そして分厚い冊子のコピーをヒラマに突き出しました。


冊子を前に、個室のメンバーが固唾をのみヒラマの視線を見詰めました。


つづく





2010/11/29 9:34:58

減額 事実確認@

嘉子の創作「減額・番外編」つづきです。


ヒラマがかけた電話の相手は、自治連合会の総本部でした。品川さんが質問した、自治会運営協力金の根拠と、自治会会費の減額がどのように議決されていたのかについて確認をするためでした。


自治会の代表はあの荒れた総会で、自治会費の値下げは「暫定措置である」と断言していました。でも品川さんは「確認していいですね。」と自信たっぷりに見えました。ヒラマはもしかしたら自治会の役員さんたちの方がウソをついているのではないだろうか。と疑いをもったのです。


自分はあの日、ミスをちゃんと直して会員の皆さんと正しい判断を後日に話し合うための方法を提案したのです。あんな形で散会したことが、どうにもひっかかります。自分の就職先の管理会社の預かり金問題にとっても似ています。


総本部は東京に所在するだけのことがあり、流暢な標準語でインテリ風の空気が漂う受け答えです。自然にヒラマはカチカチに身構えた言葉遣いになりました。電話の先で、事務の女性から担当の男性職員に交代しました。ヒラマは経緯を話し、核心の部分について問い合わせをしました。


「何件か、やはり同じようなお問い合わせを頂戴いたしました。この自治会連合会で議決した、自治会費値下げは、暫定ではありません。」と結果をたんたんと説明してくれました。


「運営協力金については、それぞれの自治会さんの方針ですから、総本部ではまったく関与はいたしません。これ以上はこちらではお答えいたしかねます。会費の議決については、毎月発行している自治会の広報誌にも掲載しています。書面が必要でしたら、その広報をご覧いただけませんか?」ということでした。


ヒラマは、会社に保管してある本棚のバックナンバーを探しました。


「月刊自治連合」といういかにも昔からあります。というタイトルの本でした。自治会連合会の広報誌は、無難な風景写真が表紙のA4サイズです。落ち着いたカラーで彩られていました。薄っぺらな冊子が1ヶ月ずつ、発行月ごとにきれいに社内保存してありました。賃貸マンション建設のときの対策のためです。管理会社は自治会と仲良くするための情報源としてこの冊子は大事な参考資料なのです。


さすが女性事務員さんだなあ。ヒラマは相棒の同僚に感謝しました。どんなささいなものでも、欲しいものが探しやすいように行き届いた管理がされています。ヒラマは自分の会社の事務処理の見事さに感動しました。


月刊自治連合の2009年7月号に、この自治会の品川さんへの答えがありました。17ページ。第4号議案。ヒラマはこの広報誌のコピーをとり、冊子には付箋をはりました。


総本部への問い合わせや、配布されている会報で、あの自治会の住民多数が役員が総会でウソをついたと、とっくに見抜いていたのです。代表者が断言した例の「暫定」の説明が、まるっきりのウソッパチだったことを広報誌の文書で確認していたのに、住民たちは何ヶ月間もなにもしなかったのだろうか?


ヒラマにまでは知らせてもらえなかった空白の数ヶ月。自治会の住民ではないので、仕方がありません。ヒラマは机の引き出しを引きあけ、いくつかのプラスチックケースの箱をひっくり返し、あのときの名刺を探しはじめました。


つづく






会社概要

会社名
(株)ネクサス
カナ
グラントップ
免許番号
宮城県知事免許(2)0006306
代表者
引地 由花
所在地
9840032
宮城県仙台市若林区荒井2丁目18−10
TEL
代表:022-724-7780
FAX
代表:022-724-7790
営業時間
09:30〜17:30
定休日
土日・祝 毎週水曜日午後
夏季・年末年始・大型連休
最寄駅
東北線南仙台
バス乗車4分
バス停名東中田六丁目分
バス停歩3分
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