いまこそ「学問のすすめ」
おもいたって、福沢諭吉の「学問のすすめ」を購入してこのほど読み終わりました。いまさらで恥ずかしいのですが、まともにすべてを読んだことがなかったのです。しかし、聖徳太子をブログでほめたくせに、現在の一万円札の人のことをきちんと知らないのは片手落ち・・・。お札になるからには、きっとなにか郡を抜いて光ることがあるはずで、知らないことはいけないのかなあと突然興味を持ったのです。
読書感想として月並みですが、こんなに爽快な気分になる書物はいままで、出会ったことがありません。一万札になるのは当然。もしも、インフレで10万円札が出ることがあったら、聖徳太子と裏表で肖像を入れて欲しいくらいです。
女性の味方とはこの福沢先生なのですね。働きもしない、飲んだくれでも、男なら女の人を虐げて、好き勝手していい・・・。などという考えをバッサリと切り捨てています。ちゃんと学問しなさい。と説いています。
当時の、漢学者たちのように、ただ文字を読み、生活の収入を得ることができないのは福沢先生のすすめる学問ではありません。
社会で実学として家計や世の中の進歩の足しになるような学問こそ重要であるとしています。役立つ学問を身につけ、社会に貢献する。自分自身の家を持ち、家計を助け、子供を育てるのみならず、もう一歩先、社会の貢献までできるところまで高めてこそ、ほめられるべきである。人が自分の生活を維持する程度の働きをするのは当然である。ただ自分が生きるだけなら、動物となんら差が無い・・・。人間としてもう一つ高いところを目標にした学問を求めているのです。
国として、人として、独立を維持する大切さを説いていました。明治初期の時代の作品です。文明開花のため、外国の真似をするにしても、ただやみくもに外国こそが是で、日本が否であるという世論に疑問を呈し、日本の独立のありように毅然とした論を展開しているところが特にしびれます。
いくたびかの戦争を経て、今、わが国は、近隣各国との領土問題を抱え、貿易とのバランスが重要になっています。この困難な時代をどう進むべきかを考える心のありようの指針として、大いに参考になります。
平成の時代に、多くの女性達が自由に結婚をしたり、仕事をしたりすることができるようになったのは福沢先生のおかげかもしれない。昔は、男たちに粗末に扱われ、台所の片隅で泣いていた女性達が、幸せに社会進出できているのは、この新しい考えがあったればこそ!!
あまりのすばらしさに一人で相槌を打ちまくり拍手喝さいをしまくりました。今の時代でも、十分に通用する内容です。この震災をのりこえるためには、何をするべきか。あの明治時代の初期の、日本をここまで導き、影響を与えた偉大なる先人の教えを知ることができました。
私は、岩波書店の本で読みました。その格調ある言い回しと、爽快な切れ味にほれ込みました。多くの訳書も出版されてありますが、先生の思いをわかるなら、明治時代初期程度で、ふりがなも、必要箇所にはありますから、是非そのままで味わうことをお勧めします。
コメント一覧*
No.4309 なまえ 嘉子さんのコメント 2011/06/11 10:21:52
コメント本文 りゅうさんコメントありがとうございます。各編ごとにテーマがあり、そのひとつひとつについて、読むごとに、その考えの深さに味わいがあります。読み手側の「読む時期」でさらに深さと新鮮さがあると思います。ぜひ!!
No.4305 りゅうさんのコメント 2011/06/10 20:52:50
すばらしい! あの有名な「天は人の上に人を造らず・・・で始まる全17編のこの本。一言一句が今の世に通用るはず。もう一度読み直しましょう。
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