しいたけの安売り
まあまあ前になってしまいましたが、ある日、一袋いつもは100円以上する生シイタケが55円で売られていました。宮城県産のものです。ラッキーだと思い2袋買いました。
知人に、お買い得情報としてその話をしたら
「だから・・・。しいたけ、この頃出たでしょう・・・。」
とのこと。つまり放射線による原木しいたけへの影響が宮城県内の福島寄りの町で最初に出たころの日の会話です。
このバーゲン品自体にはきっと問題はないのでしょうが、もう、「宮城県産のしいたけ」ということでは高い価格では売れないだろうと、お店としては見切り価格で売ったのかもしれません。
今では、私の店の隣町、名取市で生産された原木しいたけからも放射性物質が検出されてしまい、出荷が止められています。しいたけだけではありません。海にも影響が忍び寄っています。
あの、大津波で街ごとさらわれてしまった閖上の沖合の魚からも、よくない結果になっているのです。
あの時は、ローカロリーでおいしそうなしいたけに希望をもって手にとりました。冷凍保存にして、栄養価を上げて食べようとか・・・。料理方法を何通りもいろいろと頭に浮かべ、楽しみにして購入した食材が、なんとなく食べたいという気持ちよりも「大丈夫なのかなあ。」などという下がった気分になってしまっているのです。
いまだに一袋、冷凍室の中で出番待ちです。なんとなく、食べることも、捨てることさもできないのです。複雑な気持ちを忘れたくないという、反骨精神なのか、ふるさとの食材を見捨てたくないという風評被害に屈したくない、センチメンタルな気分なのか、単なるもったいながりなのか、自分でもわかりません。きっとすべてそうなのかもしれません。
単なる震災だけなら、きっと被災地の食糧を世界中の人たちががんばって応援して買ってくださっただろうに・・・。そんな無念さが日ごとに増します。ただ、袋のまま凍っている、我が家のしいたけを冷蔵庫で見かけるたびに、涙が出ます。連休中には、お店を信じて食べきりたいと思います。
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