路線価下落、でも、1ヶ所アップ
震災後の路線価ー。仙台国税局が2日発表した2012年分の土地路線価によると、東北地方は軒並み下落だったようです。津波で浸水した、わがふるさと石巻市で突出した地点が新聞で報じられていました。石巻市門脇4丁目の「県道石巻女川線通り」は46パーセントの下落率とのことです。
地図を見ましたら、門脇小学校の近くにつけられた価格。このあたりは津浪による火災で消失した小学校よりやや海寄りです。町全体が津波にのまれてしまった被害の著しかった場所・・・。
路線価という無味感想なはずの数値が、震災後の実感として、うなずける数値になってしまいました。「まだ価格があるだけ、よかった・・・」と、いうくらい、果てしなく広がる元の宅地。基礎しか残っていない土地の姿が頭から離れません。津波でさらわれ、何もかも無くなり、壊れ果てているのです。あるのは太平洋を望む丸い地平線と瓦礫の山と、浸水がところどころに残っていた地面が脳裡によみがえります。人が生活していたことがまるで幻のようです。
路線価を定める基準となる道は、おかげ様で多くの人々によって片づけられ、道として通ることができます。機能を回復していました。津浪被害を受けたけれども、「値をつけてもらえた」ー。そんなことにすら、安堵を感じるほどの変容ですから、下落率が突出してしまったとしても仕方ありません。
一方、同じ石巻市でも、2.1パーセントの上昇の場所がありました。石巻市蛇田新金沼の「石巻工業港曽波神線通り」です。東北の各税務署の最高路線価で唯一のアップ箇所だそうです。すべてが下落、横ばいの中で、これはすごいことです。
こちらはもともと震災前から、商業施設が充実してきているあたりです。震災後は津浪被害が市内のほかの場所よりも軽めだったため、一層人気に拍車がかかりました。有名な大型店や家電量販店、ホームセンターなどがどんどん出店しています。にぎやかになっていっているのは、誰の目にもわかるほどの活気です。
さすが、東北魂ですね。打ちひしがれてばかりではなさそうです。人の流れが多少変わっても、地元に、とにかく買い物ができる店があり、活気のある場所があるのは救いです。この勢いが、旧市街地、そしてそれを取り巻くエリアにも、少しずつでも賑わいと生活を取り戻し、全体の土地価格下落に歯止めがかかる日を待ちわびています。
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