洗濯物の干し場所
秋はお引越しのシーズンです。
解約の申し出をいただいた方たちに退去理由を伺いますと、消費税上昇を見込んでのことか、はたまた、震災後、銀行が住宅ローンを貸そうという動きのおかげか、「住宅購入」を理由としている方が、以前の割合よりも多くいらっしゃるように感じています。
新築注文住宅を希望できて、ローンが組める方の一番の関心事と言えば、自分好みにお部屋の間取りを決められることでしょうか・・・。ご家族とあれこれと雑誌やモデルハウスを見ては迷う過程が楽しいですね。
その中で、意外に忘れられがちなのがお洗濯物をどう扱うか、という家事動線のことです。
洗濯物は、なぜか、あいも変わらず、鴨居に竿を渡して和室に干したり、リビングに簡易物干しを立てていたりと、住空間にあることもしばしば。湿気を部屋に呼び込み、カビの心配もしつつ・・・。決められた間取りでは、仕方なくいつもどおりするしかありません。
洗濯機置き場から離れた2階のベランダや、外の庭に干して、雨が降れば、居室ににぶら下げ、畳むときは違う場所に持ち込んで、アイロンの時は、コンセント近くを狙いアイロン台のところまで移動。畳んで出来上がったものを、各自の部屋のタンスまで運ぶ・・・。と、けっこう移動が多かったりするのが実情です。
なんとかならないか、ということで、ランドリールームを日当たりの良い場所に設置して、外に干す場所と、すぐに室内に取り込める空間をもうけて、乾いたらそこでアイロン、畳むところまでを行う。徹底的に移動を減らすという考え方があります。そうできたら、なんて楽なんでしょう。
ちなみに、リビングに部屋干しする利点もあります。テレビを見ながら、部屋干しをして、家族と会話をしながら洗濯物を畳み、途中、つまみ食いなどをしながら、家事をする。狭いながらも、たいした移動もせずにすむこともあります。ソファアの隙間にアイロン台を広げて、危ないよ。などと、叱りながらアイロンを掛ける・・・。伸びていくシワを家族が見つめながら、ほこらしげに腕前を披露する。雑誌の暮らしのような形じゃないけど、気楽で楽しい時間の使い方です。
ランドリールームを独立して設置する、ということは、家族がいない場で、イッキに作業に専念して仕事を終えるという形になります。カウンターキッチンが今の間取りでは人気で、取り入れる人が多いのは、主婦の孤独を救うためと言われています。そういった価値観と照らすと、独立型の洗濯物干し場は、果たして普及するのか・・・。という感じもします。結局は住宅の主の考え方次第です。
日当たりの良い場所をランドリールームにとられれば、限られた日向に配置できるものが減ります。場所の取り合いになり、ランドリールームの後ろをリビングにすると、暗くならないかしら?などと考え、あちらを立てればこちらが立たず・・・。
ある設計事務所の大家様が作ったリビングには、初めから可動式の物干しざおがベランダ近くの天井にありました。部屋干しが必要な時に、電動で上下できるようになっています。使わない時は邪魔になりませんので、なかなかいいかも。と、感心しました。まだまだ工夫の余地がありそうですね。
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