羽田先生の日曜討論
昨日、NHKの朝の討論番組に芥川賞作家の羽田圭介先生が出演していました。いつもは見ない番組ですが、やや羽田先生贔屓ですのでつい見ました。討論の内容は高齢者が自動車の運転で交通事故を起こすことが懸念されるため、免許をどうするか。対策はどうするべきかを、学者さんやいろいろな立場の人が意見を述べる番組でした。
羽田先生は、さすが若い作家さんだけあって斬新な切り口でした。私個人の賛成反対は脇に置きます。先生の話の内容に、ある種のしびれを感じました。ほう、こんな発想があるんだ。だから作家で、賞が取れる位にすぐれた小説の言葉を紡ぎ出せるんだなあ。と感心しました。非凡です。討論番組でこの手の方向の意見を聞くチャンスはめったに体験できませんので良い休日になりました。
先生曰く、命を守るためには老人になったら運転を禁じさせてもいいのではないか。自動車の運転は、コントロール欲を満たすためにするという側面がある。高齢者の生きがいのために命が犠牲になってよい訳は無い。高齢者は違う楽しみを見出したらどうだろう。自分の周辺にいる若者たちは、車の所有をしていない人がたくさんいる。飲み会の時はあると邪魔なくらいだ。自分も車が欲しいと思うこともあるが、事故を起こすのが怖い思いもある。と率直に本音を吐露。家族が運転ができるかどうか、高齢者を見守る、という方向の意見に対しては、自分は独身であり独身のままの人もたくさんいる。として、家族の見守りを前提とした意見の実現性の薄さにも、やんわりと真実を気付かせていました。
羽田先生は、外に出かけるのが生きがい、という前提で話していること自体にもはっきりと疑問を呈していました。自分は1週間まるで外出しないで、それでも楽しみを見つける努力をしたことがある。といった内容を話ました。
そこで、私は思わず膝を打ちました。そう、それ。って。共感できました。高齢者が外出できないことが不幸、とか、出かけないと楽くない、とか、人と会わないとダメみたいな空気、押し付けが最近の風潮としてやや過分になっているのではないかと思ってたところです。羽田先生の意見は、ちょっとびっくりする人もいたかもしれないけど、じっくり考えると、より年齢が高くなっていった高齢者にはかえってやさしい視点かもしれないですよね。
活発に活動できて、外出先もたくさんあって、自動車の運転を楽しんでいる高齢者もいるにはいるのでしょうが、いつまでもそういられるわけではありません。ある種の強迫観念というのでしょうか。クリスマスシーズンに恋人がいない人、バレンタインデーにチョコがもらえないかもしれない人たちが追い詰められるような心理みたいなものが、高齢ドライバーに多少はあるんじゃないかな。車を運転しなくなったら、淋しい老人と世間に認識されるかもしれない、との恐れが、返納をさせにくくなっている側面はないのかしら。なんてね。小説が1つ書けそうなくらいの課題ですよね。
コメント一覧
No.13523 りゅうさんのコメント 2016/12/13 11:11:43
私も高齢者。どうしたらよいでしょう。車は必要だから運転しているだけ。
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