2012/02/29 9:27:35

創作・自治会 C支援物資差し止め

嘉子の創作自治会続きです。※この話は架空の作り話です。実在のものとは一切関係はありません。


色をなした自治会長はあろうことか「自治会費を払わないなら支援物資の配給は中止しますし、この仮設住宅を退去してもらいます。」と言い出しました。隣の役場職員は黙ったままです。


福地は驚きのあまり絶句しました。どおして月会費の2000円をまだ払っていない程度のことでここまで話しが大きくなるんだ?


福地から見れば、何か月お願いしても、どおしても領収書を出せないお金をとるだなんて・・・・。そんなやり方について「不審の塊」と考えています。それを質した程度で退去をほのめかすだなんて・・・。だいたい、支援物資の差し止めをする権利がそもそも自治会の権限としてあるのだろうか?


そのあたりの法律関係について、仕事人間で自治や行政などの詳細な学習などする機会のなかった福地は根拠をすぐに提示できるはずもありません。ただ、感覚的に「おかしい」としか反論できません。


まず、仮設住宅や支援物資についてはどこから来てるのかを少し考えました。税金を払っている自分が国や都道府県や市町村や、そして世界中の善意の義捐金によって影日向で支えられている「絆」の象徴じゃないか・・・。と考えました。自治会費2000円で仮設が建築されるはずはないから、自治会所有のはずはない・・・。


どおして自治会長の意思でそんなことが決められるような、権力を振り回せるかのような話を持ち出すことができるのか・・・。前にもまして、ますます不審感を募らせました。


「私は、払わないのではないんです。払うなら明細を明らかにして使途の根拠を明示してください、という簡単なことをずっと一貫して言ってるだけなのですよ。この場で即、使途の明細を見せてくださって、あなたが領収書を町内会名で正式な手順を踏んで切るのなら耳をそろえて、まとめて払いますよ。」と強い口調で要求しました。


さらに続けます。「ここの仮設住宅自治会は、震災後に始まった1年以内の出来事でのことですよ。明細を示す程度のことで、何か月もかかること事態がおかしいじゃないですか。共益費の電気代や、その他の費用に充てるとおっしゃるなら、そのそれぞれの使用先の請求書とか領収書があるはずでしょう。なぜ見せないんですかっ。」と、毅然として切り返しました。


隣の役場職員はそんな二人のやりとりがもう何回目かはわからないくらいに呼び出され、日課となってしまっています。しかし今日は「退去せよ。」とついに出た自治会長の言葉で違う局面が始まったことを意識しました。訪問日数を重ねた甲斐がいよいよあったという判断なのでしょう。


「あの三月11日以来、俺はほとんど精神的に休まるときなんてないなあ。」と。悪夢はどこまで続くんだろう。仕事があるからまあ、この人たちよかずっとマシだろうけど、どこに向かえばいいのか、私にもわからない。」と内心思いました。


隣の二人はもはや、制止できないくらい心の中は喧々諤々の一歩手前の険悪さです。しかし法治国家で騒いだり手を出したら即、理由の如何以前に「負け」が確定するのです。どちらも上げ足を取られるような、そんな軽はずみはしません。


地域のよそ者として、なかなか打ち解けてくれない住民を理由をつけて追い出したくなってしまっている自治会長のストレスや、気持ちもまるっきりわからないではありませんでした。若者だって空気くらい読んでくれてるご時世なのになあ。と職員は思いました。この日本人の配慮が福地さんはまず、ないから・・・。と。


でもなあ。福地さんはよその仕組みをちゃんと知っているから、ここの「なあなあ」のやり方が不自然に感じるんだろうなあ。たしかにみんなで運営する組織なんんだから、総会をして、総会資料とか決算書や明細書を保管したりするのが当たり前。ここのやり方が、あまりにも杜撰であっさりしすぎかもなあ。


まあ、それでこのあたりはいいことになって代々続いていたんだし。細かいことを言わないので、気楽に仲良く暮らしていけているのだから、会長さんの言い分もないわけじゃないし。福地さんの言い分もわかるし。


どっちもどっちだろうなあ。とも思うのでした。


地域の実力者と同じ方向性の立場を表面上とるしかない担当者。ムラで生きるためにはみじんも自治会の杜撰経理に対する疑問は表情にださないよう努めていたのでした。


でないと、俺の母ちゃんとか爺ちゃんたちまで、ウワサされて巻き込まれたらかなわないからなあ。「会長さんさ、あんだいのムスコ、タテついたってよ。」なんて。若い職員は家族の顔が浮かびました。自治会長さんにさからって、めんどうかけたら親不孝だ・・・。


役場に帰った職員はとある弁護士事務所の電話番号をメモから見つけました。


つづく






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