2012/01/22 10:12:33
人を黙らせる凄技
関西大倉高校時代ですから、もう30数年前になります。
けれども、昨日のことのように鮮明に思い出される。
今でこそ、関西大倉は、関関同立へ毎年数百名を送り出しますが、私の在学当時は、その十分の一ぐらいでしたね。
それでも、通常の教科の授業では生徒は静かだった。
ただ、音楽や美術になると、とたんに騒がしくなる。
私は音楽を取っていたのですが、当時の音楽の先生は授業の前に、まず「昨日の阪神戦」の話をした。
それもジェスチャー付きで、ある日など先生が縦笛を持ってスイングしたら、先がすっぽ抜けてガラスに当たり、危うく割れそうになりました。
(その日以後、先生は決して笛で素振りをしませんでした)
阪神戦が常にある訳ではありません。
シーズンもあれば、天気もある。
オフシーズンで、授業前に騒がしかったときのこと。
高校生ですから「静かに!」と言って、素直に聞くわけがない。
先生は、「ろ」を持って船をこぐ真似をした。
教室の前の方で、端から端まで、船をこいで往復した。
それは、生徒皆笑います。
笑いが一段落したところで、授業に入ったわけですが、これはもう「技」の域に達していると言っても良いでしょう。
大声も論理も必要ない。
この先生、病気のお母さんを看病しながらの授業で、フットワークが効くように原付で通勤しておられたのですが、悪い生徒が「プラグ」を盗んだりする。
授業で「返せ!返せ!」と言っておられましたけれど、基本、生徒が好きで10代後半の気持ちが分かる良い先生でした。
その時代の関西大倉には、こういう先生が結構おられた。
だからこそ、伸びてきたのでしょう。
人を黙らせるのに「船をこぐ」
一般的に使える方法ではありませんが、間違いなく凄技ですね。
50年生きてきて、これ以上スマートな黙らせ方は、見たことありません。
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