私が見つけた古民家 -2
本物件は、国道33号いの町の北で、国道からは、三十メートル程の位置にある。その周辺には、築百年に近いと思われる建物が残る場所ではあるが、近年景観は変わってきている。現在は、道路を経て西に病院、北には古い建物を解体した更地、南は駐車場となっている。
高知県いの町 土蔵 建築 大正7年 (推定)
構造形式
木造2階建て、日本瓦葺
基礎 束基礎、外周部石積み
外壁 シックイ仕上げ 壁厚 300o 水切り瓦庇付き。
屋根 日本瓦切り妻 五寸勾配
小屋組 和小屋 柱材300o角 梁材210o 丸太梁 径300o 母屋材見出し
特徴
物件敷地は東西に長く、西道路から敷地に入る造りであった。4棟の木造家屋が存在していたが、百年を経た西端建物は屋根瓦の落下により雨水侵入のため老朽化が激しく、危険建築物となったため取り壊し、残地は駐車場となっている。
そのため、つぎの客間と屋根付き渡りローカ部分の改修により、この箇所を玄関として利用している。さらに、次の建物は昭和五十年代に改修工事が行なわれている。
今回対象とするのは、東端の土蔵とさらに東外部の敷地を構成する石積擁壁や屋根門付、日本瓦塀である。また、東外部石垣は階段状に河川まで降りる事ができる造りも記録するものである。
まず、東端土蔵は、築百年程だとの事であるが、屋根瓦の一部は補修されている。また、内壁の南西部分は、仕上げシックイが崩れ落ち、下地の小舞竹と荒壁が見出しになっている。これらの部分の修繕工事も計画されている。
訪問時には、土蔵一階内部床板が波打ち、そこに置かれている古い家具材や骨董等がゆれていた、11月に床束部分の隙間を補修したとの事で、後日、工事写真をみせていただいた。
主屋から、土蔵横の通路を通り、東庭に至ると屋根付き門が見え、そこを出ると、石積擁壁と石積み階段がある。その状況は、かっては川の水を生活に利用した様子をうかがう事ができる景観である。それは、地域の文化のこれからの有り方を考えるにふさわしい構成だと思われる。
お問い合せ