平成23年(ケ)第1746号事件 ・続き(法定地上権)・
昨日の続きで「平成23年(ケ)第1746号事件」についてコメントします。
3点セットを読みこなす練習です。
物件明細書第3項(買受け人が負担することとなる他人の権利)には、「法定地上権」との記載があります。
「法定地上権」(民法388条)の要件は、
1)抵当権設定時に土地上に建物が存在していたこと
2)抵当権設定当時同一人がその土地と建物を所有していたこと
3)土地・建物の一方または双方に抵当権が設定され、競売の結果、所有者が別々になったこと
です。
要件に該当する事実を確認してみましょう。
現況調査報告書をみます。
1)については、現況調査報告書の「執行官の意見」欄の6.
2)については、同7.
3)については、同8.以下
に記載されています。
本件土地では、地代が年額16万円と極端に低いことから、投資家の入札希望者はいないはずです。他方、土地(底地)共有持分権利168分の27を有するA(地上権者、上物所有権者)にはメリットが大きいです。
もっとも、Aが本件の債務者でもある場合には、買受け申出ができない(民事執行法68条、71条2号、3号)ので、親しい人に頼んで落札してもらい、一定期間の経過後に所有権を移転します。
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競売サポートは、民事法(民法、民事訴訟法、民事保全法、民事執行法、民事調停法など)の解釈に詳しい業者に依頼すると安心です。
平成23年(ケ)第1746号事件 ・土地・
平成23年(ケ)第1746号事件についてコメントします。物件は目黒本町の土地(88平米)です。
事件番号をみます。
「平成23年」ですから、差押(競売開始決定)から、ずいぶんと時間が経っています。前回の落札者が保証金を流して代金納付をしなかったのでしょうか。
しかし、この事件は初回の入札です。
理由は、所有権者が多すぎたからです。
物件目録をみると物件(土地)の所有権者は20人にも及んでいます。複数の相続が重なったためです。
現況調査では、土地共有者全員に「土地利用権に関する照会書」(現況調査報告書 執行官の意見 13)を送付しています。20人からの回答を受取るまでに長い期間を要したことが原因でした。
本件は、目黒本町6丁目(民事執行センター近く)の土地です。更地であれば、不動産鑑定士さんの評価で4567万円(評価書6ページ)、時価(取引価格)なら5千万円以上します。
ところが、売却基準価額は640万円に過ぎません。
その理由は、この土地が上物(現況はアパート)のために法定地上権を負担する、いわゆる底地だからです。
地上権者(アパート所有者)の支払う地代は年16万円に過ぎません。売却基準価額で投資利回りは2.5%にしかなりません。
この利回りでは投資魅力はありませんから、結局、上物(アパート)所有者が買受可能価額近くで購入することになるでしょう。
法定地上権については、明日コメントします。
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相続した不動産を共有にしておくと2次相続以降、持分権者の数が膨れ上がってしまいます。こうなると意見集約もできず、売却も困難になります。相続対策は、相続が発生する(死亡)よりずっと前から始めることが効果的です。
相続対策には民法(第5編相続)の正確な理解と税法の知識が必須です。当社では、法的ソリューションとして相続対策に関するご相談も承っております。
カンボジアで活躍する日本人弁護士
今日は海外への投資についてコメントします。
私は、投資信託会社に勤務していたときにアジア株式のファンドマネージャーを経験しました。当時はまだまだ発展途上にあったアジア諸国でも、証券投資の場合には取引所における国際的な決済ルールが厳格に定められており、リスクは証券価格の変動にとどまります。
他方、海外で不動産にかかる権利を取得して事業(工場等)を運営する場合や投資用不動産を取得するケースでは、現地法に精通していなければ権利の実現ができないリスクがあります。
リスクが顕在化すると、お金を払って権利を取得したと思った不動産がまったく使えず、不動産なので持ち帰ることもできないという、まさにデッドロック状態に陥ります。
ところで、先日私が学生時代に所属していた桐朋高校水泳部のOB会がありました。久しぶりに再開した仲間に神木篤さんがいらっしゃいました。神木さんは、カンボジアで弁護士事務所を開設しています。
カンボジアへの進出を計画している日本企業の方やカンボジアで投資用不動産の取得を計画している方に神木先輩をご紹介します。
神木弁護士は、カンボジア政府の立法アドバイザー(カンボジア法整備支援プロジェクト長期専門家)を経験され、当地の官僚・閣僚とも強い信頼関係があります。おそらく、クメール語を操る唯一の日本人法曹です。
↓ 神木弁護士が運営しているカンボジアの弁護士事務所です
https://www.facebook.com/jcinternationallaw
当社でお勧めする日本国内の投資案件については、私自身、民事法に精通していますし、弁護士・税理士など専門分野での協力者がいますので、安心してお取引いただけます。他方、海外投資については、信頼できる法律専門家がいる場合のみアドバイスを行っています。
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