株式市場は大荒れ
株式市場は、大きく値を崩しています。ウクライナ情勢の緊迫化と中国の景気後退懸念から、マネーはリスク オフを志向しています。
ウクライナは、東西陣営の駆け引きです。政治的対立ですから、複数のシナリオは想定できますが、解決策を予想するのは困難です。
予想と願望を取り違えてはいけません。
他方、中国は経済・金融制度の問題です。全人代閉会にあたり、李首相が理財商品(シャドーバンキング)のデフォルトも止むなしとの見解を示しました。
シャドーバンキングは、経営状態の優れない企業へ資金を供給していました。本業は不振ですから、商品や不動産の投機資金に化けていたことは想像に難くありません。
この点、昨日発表の中国の1-2月鉱工業生産と小売売上高は予想を下回り、景気減速懸念が強まったことをから大量の投機資金が入っていたと見られる銅などの商品市況は下落しています。
シャドーバンキングは、金融当局の規制が及んでいなかったのですから、いくつかのデフォルトでとどまるとは思えません。
中国の不動産については、投機資金の流入によりバブルの様相です。この点については、このブログの2月28日を再掲します。
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継続的にリスクオフを前提とする環境にあっては、投資用不動産が魅力を増しています。株式市況に左右されない投資対象として、海外年金などの機関投資家も東京の不動産に注目しています。
<再掲>
中国の不動産 ・バブルの構造・
中国の不動産価格は高騰を続けており、バブルの様相です。バブルがなかなかはじけない理由として、地方政府の財政(構造)問題があります。
94年の財政改革以降、中央政府の歳入比率は増大傾向にあり、直近の中央と地方政府の歳入割合は概ね5:5です。
これに対し支出は、産業振興、インフラ建設、福利厚生、教育、医療などを担う地方政府の割合が急増していて、中央と地方の財政支出の比は約2:8になっています。
歳入は中央に厚く、歳出は地方の負担が重い構造です。
リーマンショック後の世界的な金融・経済危機に対応するための中国の強力な歳出拡大は、地方政府の支出として実行されました。
たしかに、中央から地方への移転金や還付金はあるものの、地方の歳出増加には足りていません。
結局、地方政府は支出を賄うために土地利用権の売却益に依存しています。このため、地方政府には不動産価格の高値維持に強いインセンティブがはたらき、これがバブルを助長しています。
このように中国の不動産バブルは、地方政府の存亡がかかっているので簡単には崩壊しない構造になっています。
しかしながら、崩壊しないバブルはありません。経済的に見合わない対価での取引が永久に続くことはないからです。
ときどき報道されますが、ゴーストタウン(開発が停まったマンション群)、貧富の格差・暴動、公害、汚職などは、不動産をもつ者ともたない者との対立の構図の現れともいえます。
また、これまで中国では、人民元を米ドルにほぼ連動させることで、輸出を拡大させてきました。
為替水準を維持するためには、リーマンショック後の米国の金融緩和に連動させて、経済実態に不相応な金融緩和を実施してきたと推測できます。
緩和マネーは、地方政府の施策にのって不動産に流れ込みました。
ところで、当社は、昨年秋に中国人(都内在住)の優秀なビジネスマンと投資用マンションの取引の媒介をしました。
彼いわく、「中国では不動産バブルが顕著で、まだ多くの中国人不動産投資家は、バブルが崩壊しつつあることを認識していない」とのことでした。
彼は、「中国のマンション(2戸)が3倍になったので売って、東京のマンションにスイッチすること」にしました。
それから半年たち、中国経済の指標の中には変調を示唆するものが出始めています。
米国の量的緩和の縮小、FFレートの引上げなどが引き金になり、不動産価格が下落を始めると混乱につながるおそれがあります。
中国で混乱がおきると影響を受ける世界の為替や債券、株式市場は波乱の展開を覚悟しなければならないでしょう。
金融資産への投資が危険性を増すなかで、実物資産であるわが国の不動産は、昨年まで長く続いたデフレにより適正な価格(利回り)水準に回帰しています。
機関投資家にも、現在の日本の不動産は、株式などの金融資産に対し、「オールタナティブ」な投資対象としてあらためて注目されています。
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