平成26年(ケ)第62号事件 ・借地権解除・
今日は、平成26年(ケ)第62号事件についてコメントします。
競売には、土地利用権が賃借権の物件もあります。
賃貸借(民法601条)契約でも建物所有目的の場合には、借地借家法により、物権(例:所有権)と同様な強固な権利として保護されます。
強力な借地権保護のために、賃借権の価格は時価の7割(=底地の価格は3割)程度で取引されます。
地主(底地所有権者)としては、賃貸借契約の解除ができれば土地の評価額(3割から時価へ)が上がり、譲渡も容易になります。
このため、落札者に賃借権の譲渡を認めないことを企てます。
しかしながら、底地権者の企てはうまくいきません。
落札者の申立てにより裁判所は、底地権「者の承諾に代わる許可を与えることができる」(借地借家法20条1項)からです。
衡平な価格で裁判所が土地賃貸借契約を設定します。
ところで、競売になってしまうような債務者は、これから失うこととなる財産権(土地賃借権)には無関心です。
資金も枯渇していることから、地代を払わないことがしばしばあります。
そうすると底地権者は債務不履行により土地賃貸借契約の解除を主張します。賃借権負担のない土地が返ってくるチャンスだからです。
他方、抵当権者は換金価値を維持するために、解除されないよう「地代の代払いの許可」(民事執行法56条)を裁判所に求めます。
なお、代払いした地代(賃料)は、「共益費」(民事執行法56条2項・55条10項・42条1項)となり、売却代金から回収できます。
本件では、底地権者は、債務不履行解除ではなく、土地賃借権の期間満了による終了を主張しています。
他方、建物所有者は、更新を拒絶されたと述べています。
この点は、評価書の借地契約の概要「特記事項」欄に詳しく記載されています。また、評価において、更新拒絶の意思表示がなされた借地の場合には、市場性が修正されます(評価書11ページ)。
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本件は、土地賃借権の「存否に争い」(物件明細書5項)があるので、裁判で決着することになります。
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