2015/04/28 9:22:52

平成26年(ヌ)第241号事件 ・ジャンク物件(2)・

符号(ヌ)の事件についてコメントします。


(ヌ)は、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行として「不動産に対する強制競売」(民事執行法43条1項)が申し立てられた場合の符号です。



考えられるのは、不動産の所有権者が、先行する民事訴訟(損害賠償請求など)で金銭債権を請求されて敗訴した結果、勝訴した債権者がその確定判決を「債務名義」(民事執行法22条)として、敗訴した債務者所有の不動産に競売を申立てるケースです。


ところで、(ヌ)事件は、債務名義を有する勝訴債権者が、敗訴債務者に対して心理的圧迫をかけて履行を促す目的で競売を申立てている場合があります。このため、不動産の一部(敗訴債務者の共有持分のみ)が競売の対象となることもあります。


敗訴債務者が債務を払えば、本件競売事件を申立てた債権者は満足し競売を「取下」ます。実際(ヌ)事件では「取下」となることが多いです。


これに対し、競売事件で圧倒的に多い(ケ)事件は、不動産に抵当(担保)権を設定した後、債務不履行により担保不動産に競売が申立てられたものです。設定時に、不動産の全部(共有者全員の持分)に抵当権をつけますから、共有持分の一部について競売になることはありません。


入札参加者の手続きは(ケ)、(ヌ)どちらの事件でも同じです。


所有者の滞納金・損害金に対して、管理組合が支払請求訴訟を行う場合も(ヌ)事件になることがあります((ケ)事件となることもあります)。


なお、符号は裁判所が決めます。担保権の実行は(ケ)と決まっていますが、他の場合には(ケ)または(ヌ)となります。



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