平成26年(ヌ)第336号事件 ・持分の売却(3)・
引き続き、平成26年(ヌ)第336号事件についてコメントします。
物件は、江東区新大橋3丁目の165平米の土地です。現況は、土地上に3階建て住居があります。売却基準価額は678万円と破格です。
安い物件には注意が必要です。
さっそく3点セットを見ていきましょう。
この事件は、符号が(ヌ)となっています。
(ヌ)事件は、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行として「不動産に対する強制競売」(民事執行法43条1項)が申し立てられた場合です。
考えられるのは、不動産の所有権者が、先行する民事訴訟(損害賠償請求など)で金銭債権を請求されて敗訴した結果、勝訴した債権者がその確定判決を「債務名義」(民事執行法22条)として、敗訴した債務者所有の不動産に競売を申立てるケースです。
本件ではBが先行する民事訴訟の敗訴債務者で、先行訴訟の勝訴債権者は、B所有土地持分(土地共有持分1/3)を換価するため、強制競売の申立をしたと考えられます。
ところで、(ヌ)事件は、債務名義を有する勝訴債権者が、敗訴債務者に対して心理的圧迫をかけて履行を促す目的で競売を申立てている場合もあります。
このため、本件のように不動産の一部(敗訴債務者の共有部分のみ)が競売の対象となることもあります。
敗訴債務者が債務を払えば、本件競売事件を申立てた債権者は満足し、競売事件を「取下」ます。実際(ヌ)事件では「取下」となることも多いです。
これに対し、競売事件で圧倒的に多い(ケ)事件は、不動産に抵当(担保)権を設定した後、債務不履行により担保不動産に競売が申立てられたものです。
金融機関は融資(抵当権設定)時に、不動産の全部(共有者全員の持分)に抵当権をつけますから、共有持分の一部について競売になることはありません。ちなみに、入札参加者の手続きは(ケ)、(ヌ)どちらの事件でも同じです。
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事務所移転
今日は、事務所の引越し日でした。
当社は、杉並区立の創業支援施設(阿佐ヶ谷キックオフオフィス)で3年間お世話になりました。
低廉な賃料で、起業から3年間支援していただきました杉並区には、深く感謝しております。
移転先も杉並区内です。
自宅の最寄りである高円寺駅から2分ほどの平野ビル301号室です。
3階ですが、日当たりもよく静かなお部屋です。
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平成26年(ヌ)第336号事件 ・持分の売却(2)・
昨日に続き、平成26年(ヌ)第336号事件についてコメントします。
物件は、江東区新大橋3丁目の165平米の土地です。現況は、土地上に3階建て住居があります。売却基準価額は678万円と破格です。
この事件は土地持分の1/3の売却です。
では、共有持分を落札した場合に土地上の建物収去を請求できるのでしょうか?
この点、建物所有者Aは、競売対象外の持分(土地の2/3)の所有者でもあります。
現況調査報告書の関係者の陳述では、建物は、競売対象地(土地の1/3)を所有する債務者Bと無償の利用(使用貸借)の関係にあります。
そうすると建物所有者は自己所有地(2/3)と使用貸借契約(1/3)で建物を維持しているのであり、無権原で土地を利用しているわけではありません。
使用貸借関係は当事者の変更で消滅しますが、建物には契約関係があったので、落札者が単独で明渡しを請求することはできません。
結局、地代相当額(の1/3)について地代に相当する不当利得を請求できるにとどまります。
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次回は、なぜ共有持分が売却対処になってしまったのか、コメントします。ヒントは、事件符号にあります。
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