競売Q&A ・事故物件(4)・
今日は、賃貸物件で自殺があった場合の次の募集についてコメントします。
自殺など事故物件は心理的瑕疵があるとされます。
賃貸時には自殺の事実を告知することになりますから、当然賃料も減額せざるをえません。
瑕疵の告知が必要な期間について、下記裁判例が参考になります。
「・・自殺後の物件に住むことの心理的嫌悪感は時間の経過とともに希薄となる・・一般的に、自殺事故の後に新たな賃借人が居住をすれば、特別の事情(その賃借人がごく短期間で退去したといった事情)がない限り、・・その後の入居者の心理的嫌悪感の影響もかなりの程度薄れる・・自殺後の最初の入居者に対しては宅建業法上の告知義務があるものの、(一旦別の入居者がいた場合には)その後の入居者に対しては、特別な事情がない限り、宅建業法上の告知義務はない」
(東京地裁平成19年8月10日判決)
上記裁判の事案は、所有者からの損害賠償において、遺族の損害額を限定するための判断です。
裁判例の射程は売買取引には及びません。したがって、売却時には告知義務があります。
告知しないと売買契約上の義務違反として損害賠償を請求されることがあります。
<最高品質のサポート、安心の落札は岡野不動産合同会社>
判例は、争いとなった事実関係をよく把握して、裁判官の判断過程を分析しないと応用することができません。
競売Q&A ・事故物件(3)・
物件は、八王子市打越町のトラスティア北野904号室(2LDK、内法78.5平米)、平成19年1月築です。
売却基準価額は741万円と激安です。
激安には理由があります。
建物内での不自然死(自殺など)は、事故物件といわれます。
事故物件には心理的瑕疵があるとされます。
この物件の売却基準価額が安いのは、心理的瑕疵に相当する価値を減価しているからです。
減価率については、補充評価書1ページをみてください。
<最高品質のサポート、安心の落札は岡野不動産合同会社>
次回は参考のため、賃貸物件で自殺があった場合を考えてみます。
競売Q&A ・事故物件(2)・
物件は、八王子市打越町のトラスティア北野904号室(2LDK、内法78.5平米)、平成19年1月築です。
売却基準価額は741万円と激安です。
3点セットを読んでみましょう。
裁判所から「事件番号について」という差込文書があります。
これによれば、前訴(平成26年(ヌ)第63号事件)が先行しましたが、同事件は取下げとなり、改めて後訴(平成26年(ケ)第603号事件)が係属しています。
おそらく、先行する民事訴訟で所有者は敗訴し、勝訴債権者から強制競売(ヌ事件)を申立てられたのでしょう。
所有者自殺により、平成26年(ヌ)第63号事件は取り下げられました。
27年9月10日の自殺に対し、前訴の取下げは9月14日ですから、申立者は後訴と関係の深い(おそらく実質的に同一)と考えられます。
前訴を続けていても、相続放棄されると所有者いなくなってしまう(民法939条)ので、担保権に基づく競売に切替えたものと考えられます。
<最高品質のサポート、安心の落札は岡野不動産合同会社>
次回は、売却基準価額が激安の理由についてコメントとします。
お問い合せ