質問に対する回答
質問がありましたので回答します。
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5月15日 ジャンク物件(2) ・平成28年(ケ)第1035号事件・
物件は墨田区文花二丁目の戸建て、売却基準価額は108万円。借地上に建っています。
この物件は、建物収去土地明渡請求事件が係属中でした。
この物件を落札するとどうのでしょうか?
1.落札後に代金を納付すると建物所有権は落札者に移転します。
2.裁判(建物収去土地明渡請求(東京地裁(ワ)第44042号)事件)の当事者は、原告の申立てにより、所有権者(落札者)に「承継」(民事訴訟法50条1項)されます。
3.被告(現所有者:競売になった人)は、更新料・地代不払いですから、判決は原告の請求認容(建物収去土地明渡)となります。
4.そうすると、訴訟承継人(落札者)は、建物を解体して更地で地主に明渡さなければなりません。
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質問:
賃貸借いつも楽しく読ませてもらっております。
本物件の落札者が地代の滞納分を支払った場合、裁判をする原因がなくなるので、土地明け渡し判決は出ないと考えられませんでしょうか?
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回答:
この物件の土地賃貸借契約は既に解除されています(現況調査報告書)。
原告(地主)は、「建物収去土地明渡」請求をしていて、未納地代の支払請求ではありません。
このため、滞納金を払って賃貸契約が復活する(「裁判をする原因がなくなる」)ことにはなりません。
地主にとっては、裁判を続けて、更地で返ってくるほうがお得です。
落札者が訴訟を承継するためには原告の申立てが必要です。
訴訟承継の申立ては原告の任意ですから、原告もわざわざ防御してくる落札者(新所有者)に承継させません。
また、被告(現所有者)は競売になったことで、建物所有を失うのは必至ですから、建物収去土地明渡請求訴訟の防御に関心がなくなっています。
このため口頭弁論期日に欠席して、裁判所が弁論を終結する可能性があります。
代金納付時までに訴訟の口頭弁論が終結していれば、物収去土地明渡の判決は落札者(新所有者)に及びます(民事執行法23条1項1号)。
落札者(新所有者)としては、「建物競売の場合の土地賃借権譲渡許可」(借地借家法20条1項)の申立てをして、原告を落札者(新所有者)、被告を地主とする新たな訴訟をすることになります。
あらたな訴訟では、裁判所は和解を勧めると思います。
でも地主は、更地返還と滞納分を天秤にかけますから、滞納分の支払いでは和解しません。
地主は落札者に対しては、新規に借地権を設定する場合の価格と同額を求めてくるでしょう。
判決で裁判所の代諾を得るとしても、「衡平」(借地借家法20条1項)を図るため、新たに借地権を設定するのに近い価格になると考えられます。
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