特別売却
このブログで8月17日、18日にコメントした下記事件は、期間入札では参加者がなく不売になりました。
昨日からの特別売却で出品されました。
即日買受人が現れました。
特別売却は先着順で、買受可能価額(売却基準価額の80%)から買えます。
安いので買ってから考えます。
明日は、特別売却について解説します。
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占有権原(2) ・平成28年(ケ)第856号事件・
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物件は世田谷区成城三丁目の戸建て、築36年の5LDKです。
占有者は所有者の父親で、家賃17年分を全額前払いしたと主張しています。
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賃貸物件に設定されていた抵当権が実行された場合、賃借人と落札者では利益が対立します。法律は「対抗要件」(民法177条)という制度で解決します。
この場合には、賃借人と担保権者のいずれが先に対抗要件を備えたかで優劣を決めます。
対抗要件は、賃借人への「引渡」(借地借家法31条1項)の日と抵当権の「登記」(民法177条)の日のいずれが先かで決します。
本件では、抵当権設定「登記」は平成26年10月10日です。
他方、占有者は、平成25年4月1日に平成42年3月31日までの定期賃貸借契約を締結し、それ以前から占有を開始して(住んで)いる、から平成25年4月1日には「引渡」しを受けていたと主張しています。
形式的には、引渡日のほうが登記日より先なので対抗要件は、賃借人の主張のとおりとも思えます。
しかし、賃借人の主張する定期賃貸借契約の相手方との関係は親子であり、かつ、賃貸人である子は抵当権設定者(債務者)です。
容易に真実に基づかない契約書を作成することができます。
また、賃料の全額一括前払い(30,999,840円)は通常では考えられません。
これは、賃借権の主張が認められた場合に月額賃料151,960円を払わなくて済むように画策しています。
結局、虚偽の主張であり、裁判所は、正常な賃借権とは認めません(物件明細書)でした。
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