平成24年(ケ)第2001号事件 ・占有者の主張・
今日は、「平成24年(ケ)第2001号」事件について紹介します。渋谷区大山町の大邸宅です。こんな大きな家はめったにありません。
<3点セットは、画面左のリンク(981.jp)からどうぞ。>
物件明細書を見ます。
物件明細書は、裁判所書記官が「作成」(民事執行法62条1項)します。消除または引受となる法的権利関係についての裁判所の見解です。
第3項で、買受人が負担することとなる他人の権利は、「なし」となっています。ひと安心です。
ところで、第4項では、Aについては「使用借権」、Bについては、「独立した占有は認められない」との記載があります。
A、Bの主張する権利は、法的保護に値しないようです。どういった主張をしているのか確かめてみましょう。
現況調査報告書を見ます。
現況調査報告書は、執行裁判所の命令により、執行官が不動産の現況を「調査」(民事執行法57条1項)したものです。ただし、「現況」は半年位前であることに注意が必要です。
関係人の陳述等で、所有者の弟Aは駐車場を使用借していると陳述しています。また、Aによれば所有者の母親Bが建物の一部を賃借していると陳述しています。
同席した建物所有者代理人のC弁護士もA主張の賃借の事実を肯定しています。そして、執行官に対しては「回答書を送付する」と陳述しています。結局、裁判所には客観的資料は送られていません。
平気でうそつく弁護士もいます。
Bの主張は、まったく信用できません。詳しくは「執行官の意見」を参照してください。そのほか、Aは、いろいろな陳述をしています。入札への参加意欲を削ぎたいようです。
「建物の光熱費・保守管理費に毎月数十万円かかります」とか、「建物の修理に数千万円・・見積書を提出します」などです。
もちろん、見積もりなどとってないので、提出できません。
評価書を見ます。
評価書は、執行裁判所の命令により、競売手続きにおける価格「評価」(民事執行法58条1項)が記載されています。相次ぐ民事執行法の改正により、競売手続きの特殊要因が解決されつつあるため、評価額(売却基準価額)は、「基準」性を失っています。
「2.建物の概況及び利用状況」には、建物の品等は「上位」となっています。建物は大丈夫のようです。修理費はAの主張ほどかからないでしょう。
もっとも、現況調査報告書の写真を見ると、内部は物であふれています。
この事件の場合には、所有者・関係者の任意の協力は困難でしょうから、強制執行も覚悟して入札価額を決定することになります。
<安心の落札、競売サポートは岡野不動産合同会社>
★ 3点セットを読む訓練をしましょう。関係者の陳述は客観的資料で補強されていますか、それとも単なる言い分でしょうか。上記コメントを参考に確かめましょう。
★ 売却基準価額に注目していると落札できません。3点セットから事件の中心に迫りましょう。
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