(立川)平成26年(ヌ)第35号事件 ・持分の売却(3)・
<<3日目です>>
物件は、西武新宿線西武柳沢駅から10分の共同住宅(所有者居宅+3戸)です。売却基準価額は627万円と激安です。
物件明細書第5項には、「・・共有持分についての売却であり、買受人は・・使用収益できるとは限らない。」と記載されています。
今日は「収益」についてコメントします。
共有不動産の賃貸(新規契約または現契約の解除)は、管理行為とされ、持分の「過半数で決する」(民法252条)ことになります。
本件では、持分は2分の1ですから、過半数には達していませんね。
過半数に満たない持分権者からの賃貸借契約解除の事案で、「持分の過半数に満たない共有者が単独で解除の意思表示をしても、その効力を生じない。」(最高裁判決昭和39年2月25日)と判断されています。
したがって本件の落札者は、現賃貸借契約を解除することもできません。
結局、現在の賃貸借関係で相共有者(A)に賃料が支払われているとしたら、落札者は相共有者に対し「持分割合に応じた不当利得金ないしは損害賠償金の支払請求」(最高裁判決平成12年4月7日)をすることができるにとどまります。
981の無料「お問合せ」には、こんな質問がよせられています。
「この物件を購入した場合、現在賃貸契約している3戸の賃貸料をすべて受け取ることができるのでしょうか。プロの目から見て教えてください」。
▼相共有者が賃料を受け取っているならば、判例が示すとおり不当利得(民法703条)として返還請求できます。
▼他方、親類ということもあって、賃料が支払われていないときには、持分(2分の1)は、過半数に満たないので、賃貸契約の解除はできません。
▼物権的妨害排除請求により立退きをも求めることはできるかもしれませんが、立退きができたとしても、新たな賃貸借には相共有者の承諾が必要です。
▼安いから購入するとかえって高くつきます。資金がないなら不動産に興味を持つな! です。
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