「増える所有者不明土地」
このごろ、頻繁に「空き家」とか「所有者不明」などを取り扱う記事を目にします。全国各地に増える「所有者不明」の不動産。
そのほとんどは相続登記がされないまま放置されたもの、若しくは相続者が無い独居老人が亡くなって、そのままで経過してしまう事も有りえます。
それらの不動産について各行政機関で色々な対策をされておられるようですが、既に生じている不明土地についてどう保全するか、また、これ以上不明土地を増やさないためには、国をあげての財政面の支援や不動産登記などの在り方を改善して行く必要が有ると思います。
先日も物件の調査で街なかを歩いている時、空き家の隣に住んでいる女性の方とのお話で『お隣はもう18年程前にお婆さんが亡くなり、誰一人相続する人は居なくずっと空き家のままですよ。』と仰っておりました。そのお家、和風建築の頑丈そうな建物です。このまま放置すれば廃墟となり、いずれ解体されてしまう事となる訳です。
「固定資産税」について。
不動産を所有されていると必ず賦課される固定資産税、それは建物と土地とが別々に評価され課税されております。建物が有れば軽減措置がある訳ですが、これは日本が高度成長期に地価が高騰した中で、住宅の建築を促すため゛建物”を建築していれば課税を軽減しますよと追加された措置でした。現在その当時に建築された建物の中には、解体のタイミングを迎えながら、居住者が無いまま放置された状態を良く目にします。その原因の一つには更地にすると課税される固定資産税が一機に増える事に起因します。
50年以上に制定された税制ですが、現在では如何でしょうか?年々増加して行く「空き家」、その半数は使うに値しない建築物となり、放置していると行政から「解体」を促される事も有りうる。不承不承更地にする事で固定資産税が跳ね上がる始末です。私が思う事ではありますが、戦後の経済成長期に定めた税制を今一度見直し、解体を促進して土地の有効活用をさせるための法整備をして頂きたい所です。
『中古住宅』の在り方。
先日「住宅インスペクション」について講習を受けてま いりました。ちなみにインスペクションとは中古住宅の現状を検査する事で、市場に出す前に有資格者による検査をする。それをする事で取引がスムーズに行われるという訳です。現在日本では「新築至上主義」の考え方は変わらず、中古住宅のマイナスイメージはなかなか払拭出来ておりません。その事からすれば、このインスペクションはそのイメージを僅かながら補う事ができるかもしれません。不動産を査定する中で築年数や主要構造などが価格に対しては大きな影響があり、築30年も経過してしまうと、建物の値打ちはゼロに近い評価となり、ほぼ土地値とされてしまいます。ただ、最近知り合いの方が築30年は優に超えているだろう゛和風建築”の中古住宅をその土地値に近い価格で購入され、隣接する畑でネギやサトイモを耕作して、老後を楽しんでおられます。何度かおじゃましてその建物を拝見しますが、柱は桧の四寸で無節、玄関も広々とし玄関框も無垢の樫を使用したかなり立派な物です。また、別の方とその話をしている中で、その方の知人もっそんな中古住宅を探しているとの事で、その方も家庭菜園をしながら、落ち着いた佇まいの中で暮らしたいとお聞きしました。若い方が新築に目を向ける事も仕方ないとは思いますが、まだまだ使用に耐えうる「中古住宅」の良さを知って頂ければとつくづく考えさせられたところです。
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