2019/10/30 9:32:20
「誰も住まなくなった実家の在り方」
不動産の仕事に初めて携わったのは、私が22才で不動産の『ふ』の字も知らず、右も左も全く知らない世界だった頃、京都の不動産会社で働き始めた私が、山科区にあるアパートの大家さん宅で世間話をしていた時のお話を思い出しました。
その大家さんは一人暮らしをされており、かなりのご高齢でしたが、身寄りもなく近々福井県の親類に身を寄せようと考えているとの事でした。それでこの佇まいは要らなくなるので、『あんたに上げる』って仰ったのですが、世間知らずの私は『こんな大きなお屋敷はよう面倒見れません。』って当然のようにお断りさせて頂きました。しばらく月日が経ってその大家さんから連絡が有り、『お世話になりました、家は近所の方に譲りました。』とのお話で、最後のご挨拶に御伺いさせて頂いたき、詳細をお聞きしますと、『亡くなった主人がこしらえた財産やけど、私も歳やしよう守出来へんさけぇ、誰かに貰てもろたらえぇ思てあんたに話したらいらん言うたさけぇ、近所の人に譲って上げる事に決めた。』とのお話でした。それも無償で・・・もちろん贈与税云々はかなりかかったと後で認識した訳ですが、大家さんとしては、家を守ってくれる人が居たらそれで安心出来た様子です。だれも住まなくなった実家、守って行くにはそれ相応の費用と体力が必要です。
最近この仕事に携わりながら感じている事『空き家になった‶実家”が増えて来ているなぁ〜』って寂寥感に苛まれる事が増えた事ですねぇ。それを防ぐためなら、山科の大家さん的な覚悟も有りえるかも知れないと、今になって気づかされる今日この頃でした。
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