7回目の訪熊〜中編
友人の車がホテル前に到着する。雲仙行きのフェリーに乗り込む。本来であれば熊本港からの出港だったのだが、フェリー整備の関係で少し離れた長洲港へと向かう。山間、海岸沿い、のどかな田園風景を走り抜け、約90分でようやく長洲港に到着。車ごとフェリーに乗り込み、多比良港まで45分の船旅を楽しむ。
次第に雲仙普賢岳が迫って来る。そして2011年9月以来の長崎再上陸である。
港からサッカーをモチーフにした外灯を横目に進むと、高校サッカーの名門・国見高校前が見えてくる。車は雲仙地獄を目指して山道をグングンと登って行く。
雲仙地獄は江戸時代にキリシタンが連れて来られ、熱湯による拷問で棄教を迫られた殉教の地として知られる。1991年火砕流で43人の犠牲者を出した雲仙岳は、江戸時代にも噴火があり、幾度も姿を変えてきたものの、27年に山岳部門で日本八景に選ばれた当時とすでに山並みが異なるものの、名声を損なうことがない雄大さ。雲仙には最盛期に1千人の僧坊があったと伝えられる仏教の地でもあり、明治初期には上海あたりから避暑に訪れる米欧の人たちで賑わったそうだ。また明治の地理学者・志賀重昴（しげたか）は「日本風景論」で、主峰の頂から四方ぐるりと見渡せば「限界豁達（かったつ）にして山海を掌上に弄し、九州半面の景象躍然として眉端に集まる、その観光無限」と書かれている。
山頂を少し下りると硫黄の匂いと煙が立ち込める雲仙地獄に到着する。もちろん温泉たまご（とサイダー）を購入する。
地獄温泉を後にして、来た道を少しだけ戻り、この日の宿を目指す。私は今回一番楽しみにしていたのが、専用露天風呂であった。フロントで受付を済ませ、一番に部屋の専用露天を確認する。おぉぉ〜ええやんか!!気が付けば湯船に浸かっていた。
その後、隣室のカップルが入浴を始めたので、つい声をひそめて、そそくさと部屋に戻った。
お問い合せ