2021/06/13 10:09:51

映画:「グリーンブック」

映画「グリーンブック(2019年公開)」を観た。



【解説】人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、第91回アカデミー作品賞を受賞したドラマ。1962年ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていく。トニー役に「イースタン・プロミス」のビゴ・モーテンセン、ドクター・シャーリー役に「ムーンライト」のマハーシャラ・アリ。トニー・リップ(本名トニー・バレロンガ)の実の息子であるニック・バレロンガが製作・脚本を手がけ、父とドクター・シャーリーの友情の物語を映画化した。監督は「メリーに首ったけ」などコメディ映画を得意としてきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー。アカデミー賞では全5部門でノミネートされ、作品賞のほか脚本賞、助演男優賞を受賞した。



とても見たかった作品。黒人差別がまだ残る南部地域において、演奏こそ出来るもののトイレやレストラン、洋品店でえげつないほどの差別を受け、6年前にナット・キング・コールが初めて白人の前で歌った際に袋叩きになったとか物騒なエピソードが登場する。ガサツで大食漢な暴力的なイタリア系の主人公リップであるがしっかり約束や仕事そして家族もきっちり守る。妻に欠かさず手紙を書くシーンに夫婦の愛情を感じる。「寂しい時には自分から先に手を打たなきゃ」の台詞はなかなか良い。



ケンタッキーフライドチキンを食べたことのないピアニスト・ドクに車中で食べ方や骨の処分の仕方を教えてもらうシーン、手紙の書き方を教えてあげるシーンが対照的な二人のこれまでの育ちの違いが浮き彫りになって微笑ましい。当初黒人差別があったリップが終盤には心変わりするのも自然の流れである。またドクがみんなに「有難う」と声を掛けるシーンが多く、彼の人となりが垣間見れる。終盤の即興のセッションシーンでのドクはそれまでのステージとは異なり初めて見せる楽しそうな演奏シーンでターコイズグリーンのキャデラックドゥビルセダンがとても美しかった。ちなみに演奏旅行の途中でミシシッピーが出てくるのだが、あれ?何も起こらないと思っていたら・・・



すぐにドン・シャーリーのCDとサントラ盤を取り寄せた。



今年観た作品の中で一番良い作品だった。



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