2024/12/08 1:57:37

速く走るブレーキの掛け方

何年か前に、リアブレーキの使い方という記事を書きましたが、 今日は、速く走るためのブレーキのかけ方を書きます。

速く走るために、最も重要なのは、直線です。 コーナーリング速度は、すぐに限界がきますが、直線の速度には、ある意味限界がありません。
当たり前ですが、直線の速度は、車の差がおおきいです。パワーのある車には勝てません。 同じレベルのパワーの車両の場合は、ブレーキで差が出ます。 速い人は例外なくブレーキが上手いです。
ブレーキが上手ければ、直線を速く走ったと同じ効果があります。速いスピードで走った時間が長かった事になりますから。


次にコーナーでブレーキを使うかどうか。
昔から、コーナーでブレーキを使うべきじゃないという説がありますが、これは間違いです。コーナーでブレーキを使えたほうが、速く走れるし、安全です。
ブレーキのかけ方は、その車両によって違います。
まず、自分の車・バイクの特徴を知る事が大事です。 ステアリング特性が、アンダーかオーバーかニュートラルか。
アンダーステアとは、定常円旋回をした時に、外側に膨らんでいく車の事です。 4輪車は、ノーマル状態だと、アンダーステアにセッティングされている事が普通です。
バイクの場合は、普通の市販車でも様々です。
オーバーステアとは、定常円旋回をした時に、内側に切れ込んでいって、円の半径が小さくなっていくステアリング特性の事です。一般的には、曲がりやすく感じます。
ニュートラルステアは、アンダーとオーバーの中間の事で、定常円旋回をすると、ずっと同じとこで円を描くステアリング特性です。
人それぞれ好みがありますが、私はニュートラルステアが好きです。 スポーツ走行が好きな一般ドライバー・ライダーは、弱オーバーステアが最も楽しく感じると思います。
ちなみに、サーキットのようなコースでは弱アンダーステア、ジムカーナでは弱オーバーステアが速いです。 峠では、登り坂では弱オーバーステア、下り坂では弱アンダーステア、平坦ではニュートラルステアが速いです。

速く走るためのブレーキのかけ方としては、 弱オーバーステアの車・バイクは、直線でブレーキの80%を終えるぐらいが良いです。 残りの20%は、コーナーの入り口まで残します。 強オーバーステアの車両は、ほぼ直線でブレーキを終えるのが良いです。
オーバーステアの車両は、進入でハードなブレーキングをすると、簡単に後輪が滑りますので、早めにブレーキを終わらせます。 (見せるドリフト走行は、あえてこの特性を利用するので、オーバーステアにセッティングした車両で、コーナーの進入時のブレーキングやシフトダウンをきっかけとして、進入からケツを出します。)
アンダーステアの車両の場合は、コーナーの前半クリッピングまでブレーキをかけるのが良いです。 そうする事により、フロント荷重を強くして、フロントタイヤで車・バイクを曲げていきます。 (走り方で、ニュートラルステアにします)
弱アンダーステアの車両が、サーキットで速いのは、コーナーの奥深くまでブレーキをかけられるので、結果的にコーナー手前の直線の速度が速くなるからです。 コーナーの前半の速度も速くなります。
立ち上がりでは、弱アンダーステアの車両のほうが弱オーバーステアの車両よりも、アクセルを多く開けていけます(早く開けられるのは、弱オーバーステアのほう)。
ニュートラルステアは、両方の中間的なブレーキの使い方になります。 走り方により、アンダーにもオーバーにもでき、コーナーによって臨機応変な感じになります。 コーナーの入り口からクリッピングまでの間で、その都度、どの程度ブレーキを残すか判断する感じです。
ニュートラルステアの場合は、ブレーキを使ってアンダーをしっかり消し、弱オーバーステア状態に持っていきます。 弱オーバーステアにしたら、アクセルワークとステアリング等でバランスをとって、立ち上がっていきます。
コーナーの前半でフロントブレーキを、かけすぎても、かけなさすぎても駄目です。その塩梅が速いコーナリングの為の究極のブレーキと言えます。ここは走り込んで経験を積むしかないです。
アンダーステアの車両よりも早くアクセルを開られ、オーバーステアの車両より多くアクセルを開けられます。 アンダーをしっかり消して弱オーバーステア状態に出来ない場合は(タイヤの限界を使ったコーナリングが出来ない場合は)、クリッピング近くまでブレーキを使う走り方をします。

ブレーキのかけ方としては、バイクの場合は、 後輪ブレーキを前輪ブレーキより一瞬先にかけるのが良いです。
後輪ブレーキを先にかけると、リアサスが沈み、後方に体重移動したと同じ効果を得られます。 一瞬あとから前輪のブレーキも使いますが、サスの沈み込みに合わせて、前後とも徐々にききを強くしていきます。
フルブレーキングだと、フロントブレーキのほうをメインにかける感じになります。 いきなりガツンとかけると、タイヤの限界の前にスリップしてしまうので、あくまで最初軽くあてるようにして、サスの沈み込みに合わせて徐々に強くしていきます。 なれると、前後のタイヤのブレーキの限界が別々にわかるようになり、前後別々に効き具合をコントロール出来るようになります。
この前後別々に強くしたり弱くしたり限界をコントロールするスキルを習得すると、ユーチューブとかに出てくる4輪の有名レーシングドライバーの一部が下手だと感じるようになります。

直線では、安全な状況では、ブレーキ能力を前後ともに100%使って良いです。 フルブレーキをしながら、ブリッピングしながらシフトダウンしてエンジンブレーキも有効に使います。 エンジンブレーキは、ブレーキ操作の邪魔だと言う人がいますが、そんな事はありません。 効果的に使うべきです。安定感が違います。
リアブレーキを、あまり使わない人は、エンジンブレーキを効果的に使わないと、コーナーで前後のタイヤの荷重が少なくて、滑りやすくなる時があります。(ブリッピングが下手だと、それも滑る原因になります。荷重が足りなくなる状況は、前後で違います。)
4ストローク車で最高速からフルブレーキングする時などは、リアブレーキはエンジンブレーキをメインにしたほうが良いです。最高速からのフルブレーキングではリアの荷重がかなり抜け、リアフットブレーキの操作がデリケートになるので、エンジンブレーキメインのほうが扱いやすく安定感があります。(2ストも基本的に同じですが、エンジンブレーキが弱いので、エンジンブレーキだけだと、リアブレーキの制動力が足りない事があります。)

4輪マニュアル車では、ヒール&トゥで操作します。 4輪の場合、ヒール&トゥには、かなりの練習が必要です。 ヒール&トゥが一応できるレベルの人と、極めている人では、シフトダウンのスピードがまったく違います。
極めている人は、ダブルクラッチを入れたヒール&トゥでも、バイクのシフトダウンに近いスピードで出来ます。 ダブルクラッチでシフトダウンする時に、ニュートラルの遊びをなくす位置までシフトノブを待機させておくのが、素早いシフトダウンのコツです。吸い込まれるようにシフトダウンできます。

4輪の場合も、いきなりガツンとブレーキを踏むのはABSがついていても駄目です。 まず軽く当てるようにかけ、バイクと同じようにサスの沈み込みに合わせて踏み増していきます。 4輪は軽くあてるとリアブレーキが若干先にかかるようにセッティングされている事が普通ですので、安定感も違います。
教習所や白バイが教える、ブリッピングを使わないシフトダウンは、速く走る為には、あまり意味がないです。やらないよりはマシというレベルです。 教習所や白バイのやり方で、「エンジンブレーキをきかせましょう」って、???って感じです。 エンジンブレーキという意味では、ほとんど効かないので意味がありません。次の加速をスムーズにするという意味しかありません。

安全な状況での直線では100%ブレーキを使って良いですが、 コーナーの進入では、そのまま100%では駄目です。 タイヤのグリップは、100%ブレーキに使っていると、横方向にグリップしません。 アンダーステアの車両は、コーナーの進入にむけて直線で、徐々にフロントブレーキを強くしていき、だんだん前荷重を強くしていきます。 そしてコーナーの進入でフロントブレーキから弱めていき、最も速く曲がれるように荷重を調整します。

オーバーステアが強い車両の場合はアンダーステアの車両に比べて、直線でフロントブレーキを強くして強いフロント荷重にする作業や、コーナー進入からクリッピングまでブレーキを使う作業は、あまり必要ありません。 そのような運転をすると、フロント荷重が強すぎてリアタイヤのグリップが足りなくなり、リアからスリップダウンしやすくなります。(ドリフトアングルが大きくなり、遅くなります)
オーバーステアの車両は、ほぼ直線でブレーキを終えても、どんんどん曲がっていくので、コーナー進入後クリッピングまではエンジンブレーキだけでも、それなりに速く走れます。

ニュートラルステアの車・バイクは、アンダーステアの車両のようにクリッピングまでフロントブレーキをかける走り方をすべきではないです。アンダーステアの車両より早くアクセルを開けられる走り方をしないと、ニュートラルステアにしている意味がありません。
コーナーのクリッピングでは、前後のタイヤともに100%近く横方向にグリップを使いたいので、コーナーの進入の手前から、徐々にブレーキを弱め、縦方向から横方向にグリップを増やしていきます。
クリッピングまで強いブレーキをかけて、一気に向きを変えてアクセル全開という走り方だと、横方向のグリップを100%使うのが難しいので、旋回性が落ちます。(近年の大型SSバイクでは、この走り方がブームです。横方向のグリップを100%使うより、ブレーキ性能・加速性能・リアタイヤの太さとハイグリップタイヤをいかしたほうが速くなるという考えです)
この走り方をするなら、アンダーステアにセッティングすべきです。
この走り方がデーターロガー上、早く見えるのは、走るラインの距離が短いのも理由の一つです。直線的に走るので、強いブレーキと立ち上がり加速を有効に使えます。 同じラインで横方向のグリップを100%引きだす走り方が出来るライダーのほうがレベルが上で早いです。

過去良いとされていたラインや、現在でも早くない人のラインは、無駄に遠回りしています。ただしパワーのないバイクは、緩やかなラインで速度を落とさないほうが早い場合があります。
小さいバイクから走り込んでステップアップした人のほうが速いのは、横方向のグリップを引き出すのが上手いからです。 横方向のグリップを引き出すには、ブレーキの使い方と荷重のかけ方が重要です。

荷重は左右だけじゃなく、上下と前後のコントロールも大事です。 直線でフルブレーキが終わったらフロントブレーキを弱めて、最も曲がりやすい荷重状態にします。曲がるには、かかりすぎているフロント荷重を弱めて、ほとんど抜けているリアタイヤにも荷重をかけます。この作業はリアのグリップを回復させて、コーナーの入り口からリアの旋回力も利用します。これをやらないとリアタイヤが流れやすくなって遅くなります。
コーナー進入して更に徐々にブレーキを弱めながらバンクを深くさせていき(徐々にブレーキを弱めながらハンドルを切り)、クリッピング手前またはクリッピングで、フロントブレーキをリリースした瞬間にフルバンクさせます。
フロントブレーキをリリースした瞬間でも、エンジンブレーキを使い、バイクの場合リアブレーキを残しておきます。 エンジンブレーキとリアブレーキによりフロント荷重を保っていたほうが、よく曲がるし、急激な前後の荷重移動を避けられます。(急激な前後の荷重移動は、フロントまたはリアからのスリップダウンの原因になります)
残したリアブレーキで前後の荷重のコントロールをします。 教習所乗りだと、ブレーキをリリースした瞬間に曲がる力がだいぶ弱まります。教習所乗りの場合は、フロントブレーキをリリースした瞬間に必ずリアブレーキは残しておいたほうが良いです。 フロントブレーキを一気にリリースするのは駄目です。
フロントブレーキを緩めながらハンドルを切りながらバンクさせていきます。 フロントタイヤのグリップが、縦方向から横方向へ移っている事を確認しながらハンドルを切ってバンクさせていきます。ここは最も繊細で絶妙なタイミングでの操作が必要になります。 フロントブレーキを緩めながらを基本としながらも、フロントブレーキを緩めたり増したりと微妙な調整をして最も曲がる前後の荷重状態にします。
この時リアブレーキは、ほとんどかけてないフルブレーキ時より掛け増した状態になります(かけすぎ注意)。 ブレーキのリリースが大事と言われるのは、こういう事です。上手い人ほど繊細なフロントブレーキのリリース操作をしています。

アンダーステアの車両より、ニュートラルステアのほうが早くアクセルを開けられるので、クリッピングを過ぎた直後のスピードは速くなります。
ニュートラルステアが、臨機応変にいろいろなテクニックを駆使できるし、オールマイティに速く走れるので、一番楽しいと私は思いますが(オーバーステアのほうが楽しと思う人が多いと思いますが)、サーキットで誰よりも速く走りたい人は、弱アンダーステアにしたほうがタイムは早くなりますし、前の車両をパスしやすくなります。
コーナーの立ち上がりより、コーナーの進入からクリッピングまでのほうが、タイムの差が出やすいからです。
ただし、ストレートが長めのコースの場合は、立ち上がり重視のセッティングにしたほうがタイムが早くなるので、ニュートラルステアのほうが早くなる可能性があります。(ニュートラルステアを生かす走り方が出来る必要があります)

直線では100%ブレーキを使って良いと書きましたが、あくまで【安全な状況】の場合です。 峠などのコーナーの手前では100%ブレーキを使ってはいけません。 私は本気走りでも常に5〜10%、ブレーキに余力を残すようにしています。 見た目より下り勾配がきつい事があります。 100%ブレーキを使っていると、わずか0.2秒の遅れでも、公道の場合コースアウトします。
時速60キロの場合、1秒で約16メートル進みますので、わずかな反応の遅れや判断ミスで、道幅などすぐにコースアウトしますから、峠のコーナーの進入では100%のブレーキングは絶対にしてはいけません。
峠では、ファーストイン・ファーストアウトではなく、スローイン・ファーストアウトのほうが安全の為に良いです。
100%のブレーキングは信号が赤になった時に、後ろに車がいない時に練習したら良いです。 いつも停止線にピッタリ止まるようにします。いい練習になりますよ。
サーキットを走る人は、長いストレートの後のブレーキングが良い練習になります。突っ込み競争になるので、他の人とのブレーキの腕を比べる事が可能です。(ブレーキ性能、特にタイヤが違う相手と同じようには減速できないので、注意しましょう)

タンデムの場合は後輪の荷重が多くなるので、特にリアタイヤを効果的に使う必要があります。バイクは、一人乗りと二人乗りだと、ブレーキのかけ方を大きく変えないといけません。
一人乗りでハイスピードからフルブレーキする時は、かけ始めの初期の段階で、一瞬、二人乗りの時のようなリアブレーキを上手く使った荷重状態にすると、安定感が違うので恐怖心が少なくなると思います。 これは、握りゴケをしない為のコツでもあります。






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